重量だけ落としたいなら、フレックスを上げる
みんゴル取材班(以下、み):シャフトの重量を軽くしたいときは単純に重量だけ落とせば問題ないですか。たとえば同じモデルの60グラムのSから50グラムのSにリシャフトするとか。
宮城:同じブランド、同じモデル、同じフレックスでも重量が違えば硬さは違います。なぜならシャフトメーカーは重量ごとにターゲットユーザーを決めて作り分けていて、フレックスも重量ごと設定しているからです。60グラムのSよりも50グラムのSのほうがやわらかいし、60グラムSよりも40グラムXのほうがやわらかいものもあります。
もし重量だけを落としたいならフレックスを上げたほうがいいでしょう。どのメーカーも同じモデルのなかで硬さの階段を作っていますが、それを理解しないままシャフトを選ぶと失敗しがちです。
み:同じモデルでいろいろな重量を打ち比べると重さだけでなくしなり戻りのフィーリングも変わる気がします。70や60 グラムと50や40グラムは明らかに違います。
宮城:軽いものはシャキッとしていて弾くし、重いものは反応がマイルドです。理由はカーボンの厚さの違いです。
同じ弾性率であればカーボンシートの1枚の重さは同じです。重いシャフトにするためには積層する枚数を増やさないといけませんが、そうするとシートとシートを接着するレジン(樹脂)の量が増えるのでカーボンの本来の特性が薄れてきます。重いシャフトがつかまりにくいと感じるのはシャフト自体の動きが遅いからです。
カーボンの厚さの違いで、シャフトの特性は変わる
み:軽いシャフトのほうが高性能ということですか。
宮城:そうとは限りません。60グラム以上には本来使うべき材料を使うけれど、40グラムや50グラムには弾性率を落とした材料が使われることがあります。40グラムのXで60グラムのRくらいの硬さしかないシャフトもあるくらいです。
その理由は2つあって、1つは軽量シャフトのターゲット層が張りの強いものを振れないこと。もう1つは折れないことが前提なのであまり軽くて硬いものは作れないからです。ひとくくりに40グラムXといっても本物の軽硬と、言い方は悪いですが偽物があるので要注意です。
み:逆に重いシャフトを使うメリットはありますか。
宮城:動きが遅いのは決してデメリットではありません。典型的なのはFWです。とくに男子プロは1Wよりも10グラム重いシャフトをFWに入れる選手が多くいます。
これは重さの階段を作るだけでなく、先がびゅんと走りすぎないようにして、ロフトを立ててボールを厚めに拾えるようにするためです。