「KKT杯バンテリンレディスオープン」で初優勝を飾った岩井明愛。強風の難コンディションでもスコアを崩さなかったスウィングをみんなのゴルフダイジェスト編集部員でプロゴルファー中村修が解説。

攻めるゴルフが岩井姉妹のプレースタイル

双子のプロゴルファーのツアー優勝は、史上初となりました。アマチュア時代は姉・明愛は積極的なプレー、妹・千怜はセーフティなプレーと異なるプレースタイルでしたが、プロになってから千怜選手は「これではプロの世界では通用しない」と攻めるゴルフへと転換し、昨季初優勝から2週連続で2勝を挙げていました。

画像: 強風の中我慢のゴルフで申ジエを逆転し、ツアー初優勝を飾った岩井明愛(写真/姉崎正)

強風の中我慢のゴルフで申ジエを逆転し、ツアー初優勝を飾った岩井明愛(写真/姉崎正)

練習日に父・雄士さんと話すと、明愛選手は積極的なプレーが持ち味でしたが「少し臆病になっていましたね。少し前に2オンを狙えるパー5を刻んだことがあって、そのことを3日くらい悔いていました。明愛らしくプレーすればいいんだ」と背中を押したと聞いていました。

その明愛選手は、初日・二日目とも積極的なプレーで申ジエ選手に1打差の2位と食らいつき、強風の最終日に我慢のゴルフで逆転しました。象徴的だったのは2オンを狙える18番パー5です。現地で見ていた初日、218ヤード残った2打目で明愛選手は5Wを持ち「強い球」でグリーンを狙いましたが、惜しくも池ポチャ。

キャディは「3Wを持っていたかと思っていた」とコミュニケーション不足を反省し、1打リードした最終日の18番ホールでも果敢に2オンを狙いました。結果的に右に外し、寄せてバーディパットを外してのパーで優勝を決めましたが、プレッシャーのかかる場面でも落ち着いてプレーする姿が印象的でした。

画像: 1打リードで迎えた18番パー5でも2オンを狙う積極的なプレーで初勝利を手繰り寄せた(写真/姉崎正)

1打リードで迎えた18番パー5でも2オンを狙う積極的なプレーで初勝利を手繰り寄せた(写真/姉崎正)

今季の女子ツアーは、昨季のポイントランク4位勝みなみ(2107ポイント)と5位西村優菜(2089ポイント)の約4200ポイントを獲得した二人が米女子ツアーに参戦しているので、そのポイントを誰が稼ぐのか。わかりやすくいうと、西村選手の稼いだ約1億5千万円と勝選手の約1億4千万円の合計約2億9千万円を誰がゲットするのかというシーズンになっています。

開幕戦を制した申ジエや穴井詩などのベテラン勢の活躍もありますが、岩井明愛・千怜姉妹がブレイクしてポイントランク、獲得賞金額でも上位に食い込んでくるのではないか、と期待しています。では、明愛選手の思い切り"振り切るスウィング"を見てみましょう。

わきを締めたゆるみのないスウィング

明愛選手のスウィングで一番の特徴は、両わきの締めです。スウィング中にわきを開くことがないことで、体の胴体の動きに対して先行したり、振り遅れたりすることなくついてきます。

画像Aの左のアドレスを見ると、体の横から締めるのではなく、一度胸の前でクラブを握り、わきを締めてから手元を下げるようにすると明愛選手のように両わきの締まったアドレスで構えられます。

わきを締めたまま始動するとことで、体の正面から手元が外れずにテークバックされています。(画像A右)

画像: 画像A 両わきを締めることで腕と体が同調する(写真/大澤進二)

画像A 両わきを締めることで腕と体が同調する(写真/大澤進二)

トップでも右ひじは地面を指し、わきが締まっていることで再現性が高くオーバースウィングにもなりません。(画像B左)

もちろん、もう少し腕の動きを許容するプロも多く存在しますが、明愛選手の場合はしっかりわきを締めたスウィングを基礎、基本としてスウィング作りをしてきたということでしょう。

わきにヘッドカバーやタオルを挟んでハーフショットをする練習ドリルは、オフの基礎練習だけでなくツアー中も多くのプロが取り組む練習法です。

わきが締まっていることで得られるメリットは、体と手元の距離が変わらない、腕が暴れてバラバラに動いたりしないという再現性を高めることができます。

画像: 画像B わきを締めることで体と手元の距離が変わらず、再現性が高くなる(写真/大澤進二)

画像B わきを締めることで体と手元の距離が変わらず、再現性が高くなる(写真/大澤進二)

明愛選手は、難コースに難コンディション、申ジエ選手との優勝争いの中で、攻める、我慢する、ここぞというパット決めるといったゲーム運びやメンタル面も大きく成長したはずです。今季の活躍はこれからもまだまだ期待できるでしょう。

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