米ツアーの人気選手たちが使い、魅力的なドライバー「ステルス2」シリーズ。購入を考えているゴルファーでヘッドスピード40m/sくらいの人が買って間違いないものはどれなのか? ゴルフステージ成城のクラブナビゲーター・吉田朋広が答える。
今回のコラムは「ステルス2」をお使いで、すでに良い結果が出ているという方には必要ありません。あくまでもこれからテーラーメイドの「ステルス2」シリーズの購入を検討していて、ヘッドスピードが40m/s前後のゴルファーに向けて参考になればと思います。
まずはヘッドの特性を十分に理解する必要があります。ご存じの通り「ステルス2」シリーズは前モデルの「ステルス」同様、カーボンフェースを採用しているプロ、アスリートゴルファー向けのヘッドです。
このドライバーを使って良い結果に結びつけるには、この最大の特長である「カーボンフェース」の特性をいかに理解して使いこなすかが非常に重要なポイントになります。
「ステルス」誕生前はテーラーメイドもフェース素材にチタンを採用してきました。チタンフェースはあくまでもフェースの反発力で飛距離を出す方向で開発されてきた経緯があり、現在もほとんどのメーカーはR&Aのルール適合内でフェースの反発を競っています。テーラーメイドはチタンフェースに限界を感じ、新たな飛距離性能を追求するため、カーボンフェースを採用し「ステルス」を誕生させたのですが、そもそもチタンとカーボンは素材が違うので飛ばすために必要な要素も違うと思います。
チタンフェースはフェースをたわませることで反発を高めてボールスピードを稼ぎ、飛距離を出すのに対して、カーボンフェースは硬度の高い素材ですのでたわんだり、変形したりすることはありません。そうなると「ステルス2」シリーズでは、いかに「カーボンフェースでボールを押し込んでいけるか」ということが非常に重要なポイントになるのではないかと思います。
「ステルス2」のカーボンフェースはチタンフェースに比べて非常に軽いため、ボディ側の重量比率のほうが必然的に高くなります。ボディのエネルギーがスウィング中に後方からインパクトに向けて加速してくることになりますので、インパクトでボールをしっかりと押し込むことでボールが強く押し出されます。そうなると、ヘッドスピードが速いプレーヤーのほうが有利ということになります。
そうです。「ステルス2」シリーズは確実にヘッドスピードの速いプレーヤーに有利なヘッドということになります。
ではそのことを踏まえたうえでヘッドスピード40m/s前後のゴルファーがスウィングエネルギーを効率良くカーボンフェースに伝えてボールを押し込んでいけるのはどのモデルかと考えると、「ステルス2 HD」が一番効率の良いヘッドとなると私は思います。
ドローバイアス設計の「ステルス2 HD」はヘッド後方のタングステンウェイトがシリーズ最重の30gあることと、重心深度が深いのに低重心という設計で高弾道でも適度に抑えられたバックスピン量のボールが打てるのもポイントです。
さらに重心角度が大きいうえにフックフェース、ショートホーゼルとヒールウェイトのおかげで自然なヘッドターンもしやすく、標準仕様でライ角度も58度。無理にボールをつかまえにいかなくてもボールがとらえられ、ドロー回転がかかりやすく、シンプルに高弾道で最大飛距離を求めることがしやすいでしょう。ということで私がヘッドスピード40m/s前後のゴルファーに「ステルス2」シリーズのヘッドを選ぶなら「ステルス2HD」をオススメしたいと思います。
今回はせっかくなのでヘッドスピード40m/s前後で振るとして「ステルス2HD」の特性をさらにアップしてくれるシャフトのマッチングも考えました。数多くあるマッチングの中で選び抜いた2つを紹介したいと思います。
一つ目はダブルキックポイントでボールを押し込めるコンポジットテクノ「ファイアーエクスプレスEX-CR」。50グラム台で手元側と先端側にキックポイントを持つ、「ダブルキック」のシャフトでオススメはSRと S。切り返しの間が非常に取りやすく、タメを作りやすい。そしてインパクトでは先端部分の動きがしっかりとボールにパワー伝えてくれます。先端部分が動くシャフトですが、インパクトでヘッドが上を向かず、飛球線方向に動くのをアシストしてくれるので「ステルス2HD」のヘッド設計をさらに引き出し、カーボンフェースにボールを押し込んでいくことがしやすいと思います。
もうひとつは三菱ケミカル「VANQUISH」(ヴァンキッシュ)。スペックは50グラム台のSR と Sがオススメです。先端部分に動きがある先調子系のシャフトですのでボールをとらえるイメージはしやすいマッチング。軽量ながら先端部分の剛性を高くしてあるのでインパクトは厚く、ボールにしっかりとエネルギーを伝えていくことができます。カーボンフェースで飛ばすのに必要な「押し込み」を実現してくれます。バックスピン量が少なくなりすぎないのも扱いやすいポイントだと思います。つかまりが良いのに必要以上に左に巻き込みすぎないのもいいですね。意図的にドローを打っていきたい方も安心して振っていけるでしょう。SRとSで1フレックス以上、フィーリングに差がありますので必ず試打してくださいね。