先週の「ISPS欧州・日本どっちが勝つかトーナメント!」の最終日に5つスコアを伸ばして4位タイで終えていた岩田選手。「初日の途中でどうしようもなくなって、いつも怒るから余裕がないな」と冷めた感じでのプレーが功を奏してスコアを伸ばせたと話しました。
常に試行錯誤しながら追求する姿勢だからこそ、自分に対して怒ってイライラしていたのでしょう。先週からの少しだけ自分を許してプレーすることで余裕が生まれ、持てるパフォーマンスを発揮しました。ショット、パットともに冴え渡り6バーディ1ボギーの65と1打差首位の星野陸也を逆転し、優勝を手にしました。ではそのスウィングをじっくり見てみましょう。
岩田選手のスウィングを一言でいうとお手本にすべきオーソドックスなスウィング。骨盤を起こしたお尻の位置の高いアドレス。手元はアゴの下にあり、遠すぎず近すぎないボールとの距離(画像A左)。
右ひざを逃がさないように踏ん張りながら、フェース面を開かずに左手を右手よりも下にキープしたままテークバックしていきます(画像A右)。こうすることで、始動からお腹の筋肉を使いながら手打ちにならないテークバックを実現しています。
左腕が地面と平行になる位置でもフェースを開かずに右手は上のまま(画像B左)。アドレスで作った両わきを締めたままの体勢で、背骨を軸に深く捻転していきます。トップでは前傾角に従って左肩はやや下がり、左手の甲と前腕がフラットになる「フラットレフトリスト」と呼ばれるフェースをスクェアに保つ動きになっています。
ダウンスウィングの早い段階でインパクトのシャフトの角度と重なるオンプレーンスウィングの美しさが岩田選手の最大の特徴です。テークバックで右足にかけた圧力を切り返し以降もしっかりと踏み込んで回転力を得ています。下半身の力を使ってクラブを効率よく加速させているので、体の上下左右のブレの少ないスウィングを作り上げています。
岩田選手に以前、長く使うオデッセイ2ボールのパターについて話を聞いたことがあります。幾つか他のモデルを試しても結局戻ってしまうとのこと。グリップは?と聞くと「一度変えると1ヶ月以上違和感があるのですが、使い込み過ぎても違和感が出るので、変える時が難しい」という答え。
パターの先端まで手の神経が通っているような感覚なのでしょう。先週に引き続きその繊細な感覚が冴えて22個のバーディを奪い最多バーディ賞も獲得しています。
ミスに対して怒りっぽいメンタルから、余裕を持たせたメンタルへと進歩した42歳の快進撃は、まだまだ続きそうです。