ドライバーシャフトにはカーボンが当たり前の時代だが、アイアンシャフトにはまだまだスチールが多いのが現状。しかし、最近はアイアンにカーボンシャフトを使用するプロゴルファーも増えて注目度が上がってきている。正確な方向性と安定した飛距離を求められるカーボンシャフト2モデルをゴルフステージ成城のクラブナビゲーター・吉田朋広が検証した。

まずは「ディアマナサンプ アイアン」。10年以上発売されているロングセラーアイアンシャフトが2023年1月にデザインを一新して登場しました。コスメチェンジした際に従来のラインナップに加え、新たに最近の軽量化のトレンドを踏まえた軽めの85シリーズが追加されて再注目されています。新たに追加された85シリーズのフレックスはR とS、従来からある95、105シリーズにはSと X、115シリーズはXで展開しています。

さっそく試してみました。手元調子のシャフトですが、切り返し時に手元が大きくしなるような感じはなく、しっかりしたシャフトですね。部分的にしなる感じもなく全体的にしっかりした印象です。
トルクが少なく捻れが少ないので、スウィング中にフェースが大きく動きません。一般的にカーボンシャフトはトルクが大きいと開いてたフェースが戻ってきてインパクトを迎える動きが大きくなりますので、ボールのつかまりが良くなります。

しかし、「ディアマナサンプ アイアン」はトルクが少なくフェースの動きが少ないのが特長です。先端部分の剛性も高いので狙った部分にインパクトしやすく、ボールのつかまりすぎを防いでくれます。トルクが少ないのでレスポンスが良いですね。パー3ホール等でティーアップしてのショットで、ライン出しするような場合でも左に巻き込むようなボールが出にくいので、ターゲットを直線的に狙いやすいですね。

装着するヘッドによって弾道の高さは変わると思いますが、アスリート系のアイアンだと弾道の高さがやや抑えられる印象でボールが吹け上がる感じはありません。この弾道なら風の影響も受けにくく、アゲンストに強そうな弾道が実現できそうですが、個人的にはもう少し高さが欲しいところです。特に95、105のフレックスX はハードヒッターが使っても弾道の高さを抑えられ、強弾道が打てるでしょう。

「ディアマナサンプ アイアン」はカーボンシャフト=軟らかくて頼りない、という感じは一切ありません。高い剛性感は重量級カーボンシャフトらしい手応えで、振り抜きもスムーズです。シャフトに余分な動きを求めず、自分でしっかりとインパクトを作りたい方に良いでしょう。

いっぽうで弾道の高さを求める方や楽にボールをつかまえたい方にはハードなシャフトに感じられると思いますが、「ディアマナサンプ アイアン」には他のシャフトには感じない唯一無二のフィーリングがあります。10年以上に渡りロングセラーの理由は他のシャフトでは感じられない、このフィーリングによるところが大きいと思います。スペックを選ぶ際にはヘッドスピードはあまり関係なく、自分にとっての振りやすさを優先して選ぶのが良いでしょう。振りにくく感じるものはオーバースペックだと判断して一つしたのスペックを選んで下さい。

110g以上のスチールシャフトユーザーなら95Sから、100g以下のスチールシャフトユーザーなら新たに追加された85Sから選ぶのが良いでしょう。ハードに感じ、硬さが気になる方は積極的に番手ずらしで装着する(例/5番アイアンのヘッドに4番アイアン用のシャフトを装着する)のをオススメします。若干ですが、シャフトにしなやかな印象がプラスされると思います。

画像: テストクラブのスペックは7番アイアンで85S・シャフト振動数 333cpm、 95S・333cpm、105S ・337cpm

テストクラブのスペックは7番アイアンで85S・シャフト振動数 333cpm、 95S・333cpm、105S ・337cpm

次に紹介するのは2022年に発売されたグラファイトデザインの新ブランドシャフト、「RAUNE」(ラウネ)です。重量は4種類あり、「i60」、「i75」、「i90」にはフレックスR 、S、もっとも重い「i105」にはフレックスS、Xが用意してあります。

「RAUNE」は同社の「ツアーAD」のアイアン用シャフトに比べてもしなやかなしなりを感じられるように仕上がっていますね。ネーミングの由来ですが、「狙う」からくる造語です。「ラウネ」で「ネラウ」という意味になっています。

「i90」のSから打ってみましたが、思ったよりもしなやかなシャフトです。アイアン用のシャフトは重量を出すためにシートを重ねて製造されるため、スチールシャフトよりもトルクの少ない引き締まった感じになりやすいのですが、「RAUNE」はしなやかなしなりを作りやすいスチールシャフトのフィーリングにも似た感じに仕上がっています。

番手ごとにカーボンの積層を変えることでロングアイアンからショートアイアンまでそれぞれの番手に求められる性能を追求しています。ですから長年スチールシャフトを使用してきたユーザーでも違和感なく使えるでしょう。とくに切り返し時に間が取りやすいので、操作性もよくフェードやドローの打ち分けもしやすいと思います。

フェースコントロールのしやすさもあってインパクト時にヘッドが厚く入り、しっかりとボールをとらえていくことができます。弾道は高さが出しやすく、スピン性能も十分ですので縦の距離感が合いやすく、グリーンを上から狙えるイメージが出しやすいでしょう。

「i75」はトルク感もあり、しなりも感じられ弾道も高く、ボールのつかまりも良いですね。
「i105」のSはしっかりとした印象ですので重量のあるスチールシャフトユーザーが使うのに良い設計になっています。

「RAUNE」は長年スチールシャフトを使ってきた方で、体の負担を考えてカーボンシャフトにスイッチしたいがフィーリングに違和感があって変えることができなかったという方に是非試して欲しいと思います。

110グラム以上のスチールシャフトユーザーは「i105」を、100グラム以下のスチールシャフトユーザーは「i90」を試して下さい。とくに「i90」のSはターゲットが幅広いスペックに仕上がっている印象です。打ってみてフレックスの硬さが気になる方は番手ずらしで装着するのも良いでしょう。

ロング・ミドルアイアン用はボールが上がりやすい設計でショートアイアンはコントロール性を高める設計になっていますので、番手ずらしの効果を体感しやすいと思います。

画像: テストクラブのスペックは7番アイアンでi75S・シャフト振動数285cpm、i95 S・297cpm、i105S・309cpm

テストクラブのスペックは7番アイアンでi75S・シャフト振動数285cpm、i95 S・297cpm、i105S・309cpm

最後にアイアン用カーボンシャフトのスペックの選び方ですが、特にヘッドスピードは関係ないと思います。スウィングのタイミングに合ったシャフトを選べば良いでしょう。アイアンのカーボンシャフト選びで重要なのは「切り返しのしやすさ」です。切り返しのタイミングが取りやすければ結果としてアイアンショットに重要な安定したインパクトを作りやすく、安定した飛距離と方向安定性を生みます。重量やフレックスをある程度絞り込めたら最終的には自分の感じる「フィーリング」重視してください。

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