中京GC石野コースのセッティングは6,573ヤードでパー71とパー5が3ホールの設定です。400ヤードを越えるパー4が3つ、350ヤード以下のパー4は1つ、と距離のあるホールが多いタフなセッティングになっています。
コースの特徴は、大きく打ち下ろすパー3、池とクリークがからむパー5、大きく適度なうねりのあるグリーンは11フィート1/4と速く仕上げられています。気温31.3度、風速2.8メートルとタフなコースとともに暑さとも戦う初日となりました。
午前午後に分かれてスタートするインコース10番から7時のトップスタートで出た岩井明愛選手が前半9ホールを6バーディ29で折り返します。後半はパーを並べ、最終9番パー5のラフからの3打目を2メートルに寄せバーディフィニッシュ。7アンダーで初日のロケットスタートを決めました。
先週の最終日に史上初の姉妹でのプレーオフでは妹・千怜選手に軍配が上がりましたが、今週もショット、パットともに冴えわたり、バーディを量産しました。今回初タッグを組んだベテランの佐藤大輔プロキャディによると「気持ちいいくらいの攻めるゴルフ」で積極的にピンを狙って攻めるプレーに魅了されたといいます。
今季初優勝を飾り成長著しい明愛選手ですが、見ていてプレーのリズム、スウィングのテンポ、力感が一定で、バランスよく振り抜くスウィングはとても安定していました。今週も週末の上位争いに加わってくるでしょう。
同じく先週の最終日にプレーオフで惜敗した山下美夢有選手。昨年の強さが戻ってきています。朝の練習場からアイアンショットで分厚いインパクト音を響かせ、好調さを感じていました。距離のあるセッティングでも正確なショットで前半に4バーディ、後半は2バーディ1ボギーとまとめ5アンダー暫定3位で終えています。昨年もこの時期から怒涛の上位フィニッシュで年間女王へとつながったので、引き続き注目していきましょう。
お待ちかねの渋野日向子選手ですが、スウィングを再構築するなかで、現在は本意ではないフェードボールを打ちながら戦っています。しかし左手首の故障のせいかショットがピリッとしません。ターゲットよりも右に左とショットがばらつきます。前半は3パットが2回の2ボギーで折り返すと、後半もボギーが先行しますが7番パー4でバーディを奪います。しかし、最終9番パー5で池ポチャからトリプルボギーとしトータル5オーバーと出遅れました。
朝早くから多くのギャラリーの声援を受けて「鳥肌立つくらい、嬉しいですよね。自分の感情が高ぶるくらい、すごい緊張感はありました。セカンド地点から後ろ見ると、行列が見えて。この光景をアメリカで見ることはないので、感慨深いです。ほんとに感謝というか、ありがたいです」とラウンド後の会見で話しました。
手首の故障については「先に治せよと思う部分はありますが……。長期間休むっていうのは、まだ私にはできないというか、そこまでではないかなと。出させて頂いている分、やりきらないと、と思っています」と今の気持ちを話してくれました。
最終ホールのトリプルボギーでかなり気持ちは乱れているはずですが、中継局のインタビューを受け、記者たちの囲み会見のあと100名以上並ぶファンに笑顔でサインをする姿は「鳥肌立つくらいうれしい」というギャラリーの声援を受けてプレーできることへの恩返しなのでしょう。
最後に4番165ヤードパー3でホールインワンを達成し、6アンダーまでスコアを伸ばしたリ・ハナ選手。
2週前の「ワールドレディスサロンパスカップ」で3位タイ、先週は7位タイと好調です。ショットが好調なこともありますが、ピンを狙い過ぎてオーバーしたり難しいアプローチを残していたスタイルから視野を広く持ったマネジメントをできるようになったことでボギーが減り上位でフィニッシュできるようになったといいます。初優勝を目指すというより「一打一打に集中してプレーして結果的に上位で終われたら」と明日以降のプレーにも注目します。
明日は雨予報なので、長くタフなコースがさらに長く感じられることになりそうです。暫定ですが現在のカットラインは1オーバー、明日も現地からのレポートをお届けします。
写真/大澤進二
※文中の順位は2023年5月18日17時0分時点のものとなります。