ゴルフのスウィングで最も小さな動きがパッティングですが、スコアメイクで最も重要なのもパッティングです。最も大きなスウィングのドライバーはカーボンシャフトが当たり前になっていますが、最も小さなスウィングのパターにもカーボンシャフトを装着するプレーヤーも増えてきています。
「パターにカーボンシャフトなんて必要ないでしょう」と思っている方のほうが一般的にまだまだ多いですが、最近はメーカーから発売されるパターにもカーボンシャフトが装着されているモデルが増えています。
なぜパターシャフトにカーボンを装着しているプレーヤーが増えてきているのか? 装着したらどんなメリットがあるのか?実際にリシャフト市場で注目されているパター用カーボンシャフト2種類を実際に試してみて検証してみたいと思います。
第1回目となる今回はフジクラ製のパターシャフト、「MCパター」を検証します。
大手カーボンシャフトメーカーのほとんどはパター用のカーボンシャフトをラインナップに加えてきています。その中でもフジクラは2017年に発売した「MCパター」を日米で共同開発し、改良を施して2021年に発売するほどパター用のカーボンシャフトに対して積極的に取り組んでいます。
新しいフジクラの「MCパター」にはストロークタイプやスウィングテンポに合わせて「SMOOTH」 、「FIRM」、「X-FIRM」3種類が用意してあります。シャフト重量は3モデル共に115グラムとなっています。では早速検証してみたいと思います。
まずはシリーズ中最も軟らかいモデル、「SMOOTH」から。
シャフトを左右にワッグルしただけでしなるほどで、パターシャフトにしてはしなりが大きすぎるかな? と感じるほどです。しかし装着したパターを打ってみて感じたのは気持ち良い「しなり」。この「しなり」がテークバックしてから切り返すタイミングを教えてくれます。しなりを感じてストロークがスムーズになり、自然にパターヘッドを前に動かし、ボールを押し出してくれます。繰り返し打っているとパッティングのリズムも良くなりますので打ち急ぎにもなりにくいと思います。
打感も軟らかく、小さいストロークでもヘッドが前に出てくれるので、下りのラインだけどきちんと打たないといけないようなデリケートなパッティングでもタッチが出しやすいように感じます。いっぽうでロングパットはインパクトでアッパーブローになりやすいので距離感に注意が必要かもしれません。スチールシャフトと比べても「SMOOTH」のネーミング通り、シャフトの動きに合わせてインパクト後にヘッドを前に出してくれるので、パッティング時にヘッドが前に出ない方や、振り子のようにスムーズなイメージでオートマチックなパッティングストロークを求める方に試して欲しいと思います。
「FIRM」は「MCパター」シャフトの中間の硬さのシャフトです。「SMOOTH」ほどしなる感じはありませんが、標準的なパター用スチールシャフトよりも少ししなやかなフィーリングに感じますね。カーボンとゴムを複合化させた技術で作られているので振動も少なく、インパクトで手に伝わってくる打球感はソフトです。
インパクト後のボールもスムーズな転がりで球足が伸びてくれるイメージがあります。特にシャフトの動きにクセがなくタイミングのとりやすさがありますので、スチールシャフトから乗り換えても違和感なく、すぐに実戦で使える感じに仕上がっていると思います。スチールシャフトと同じストロークをしても少し先まで転がる感じがあるので、上りのパッティングでショート気味になることが多い方にもいいかもしれませんね。安定した距離感やソフトな打球感を求める方にも試して欲しいと思います。
3機種で最も硬いのが「X-FIRM」。手に伝わってくるフィーリングが非常にソリッドで打球感も「カチッと」していて特徴的です。シャフトがしならないのでヘッドとの一体感が生まれ、心地よい硬さがクセになりそうですね。インパクトロフトは少なくなりやすく、ボールの転がりが強い感じになるでしょう。トルクが少ないのでテークバック時でもヘッドのコントロールがしやすく、重めのヘッドやヘッドサイズの大きいマレットパターと相性が良さそうです。スチールシャフトからシャフトチェンジして装着するとストロークのレスポンスが良くなるように思います。
インパクトでボールを弾くイメージが加わることでボールの転がりも強くなりそうですので、ヒットしているわりにボールが転がらないといった方やスチールシャフトとは違う、硬さのあるシャフトがもたらすヘッドとの一体感を求める方に試して欲しいシャフトですね。
フジクラ「MCパター」はカーボンのもつ設計自由度を最大限に生かして、3モデル共に魅力的な設計のシャフトに仕上がっていますので、自分に合うフィーリングのフレックスを見つけられればパ
ッティングのレベルアップにつながると思います。