「MT-28」「MTIウェッジ」など数々の名器を世に送り出し、日米両ツアーで多くのプロ支給品を手がけたクラブ設計家、宮城裕治氏が流行に惑わされないクラブ選びとクラブ設計の真実をクールに解説。今回はロースピン系3Wについて考察をお願いした。
画像: 「ロースピン系は十分なボール初速と高い打ち出し角が必要です」と宮城氏は語る(写真はイメージ)

「ロースピン系は十分なボール初速と高い打ち出し角が必要です」と宮城氏は語る(写真はイメージ)

スピンが多い人のほうが結果が出やすい

みんゴル取材班(以下、み):G430LST、パラダイム◆◆◆、エアロジェットLSなどロースピンの3Wがいろいろ出てきています。ロースピン系のメリットと、どんなゴルファーに向いているのかを教えてください。

宮城:高弾道のスライサーなら使っていいと思います。ロースピン系の恩恵をいちばん受けているのは60歳以上のシニアプロでしょうね。パーシモンのように上からヘッドを入れてスライスを打っていたプロが、ロースピン系FWを使っていきなり飛ぶボールを打っています。

み:スピンが多い人のほうが結果は出やすいわけですね。

宮城:ボール初速が十分あって、打ち出し角が高い人もどうぞ使ってください。ところが、いまはボールがロースピンなので、さらにクラブがロースピンだと初速が出ない人やもともとスピンが多くない人は球がドロップして飛ばなくなります。

み:ドライバーはともかくフェアウェイウッドはスピンが少ないほうが飛ぶと思っていました。

宮城:いつからスピンが悪者扱いされるようなってしまったのでしょうね。スピンが多いと飛ばない、少ないと飛ぶという単純な結論にクラブメーカーが導いてしまったことが間違いでした。スピンはボールを持ち上げる浮力なので、初速の出ない人はスピンに助けてもらわないと滞空時間を長くできません。

み:アスリートや力自慢以外はロースピン系には手を出さないほうがいいわけですね。しかし、ロースピン系イコール低重心なので地面から打つクラブとしてはやさしいのかと思っていました。

ロースピン系はロフトのある5Wを試したい

宮城:低重心だからやさしいとは限りません。ロースピン系が低重心なのはフェース面上の重心を下げて重心より上で打たせたい意図があるからです。ただ、ロフトさえあれば打ち込まなくても球が上がるのでロースピン系はやさしいといえます。もしロースピン系を使いたいのなら3Wではなく5Wを試すべきでしょう。5Wの打ち出し角があればふつうのアマチュアでも低スピンでぶっ飛ばせますよ。

み:その手がありましたか。

宮城:3Wを入れなければいけないという決まりはないので、5Wを3Wと思って使ったほうがいいですよ。実は最近プロから3Wって本当に必要なのかと聞かれることがちょくちょくあります。

み:なぜプロがそんなことを?

宮城:いまの3Wはドライバーと同じくらい飛びます。かといってセカンドショットで300ヤードをねらう機会はまずありません。では270ヤードならどうかといえばプロは5Wでのせてきます。であれば14本しか入れられないのにただ飛ぶだけの3Wを入れる意味がどれくらいあるのか。3Wを抜いてウェッジを増やしたほうがいいんじゃないかという話です。

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