小田孔明、岡村了、時松隆光、手嶋多一、それぞれの地元トーナメント
今大会を最後まで盛り上げた岡村了。実家はコースから車で20分。飯塚市出身で現在は千葉の平川CC所属。今季6戦目で初の予選突破だ。3日目、最終組で金谷拓実と中島啓太の闘いに割って入り、粘りのゴルフを展開。
日ごと地元の声援は増え、老若男女が方言でアツい言葉をかける。「すげーやん」「ナイスやん!」「オナー取ったばい」「もっと行き~!」。皆さん、金谷や中島のプレーにも「全部入るきね~素晴らしい」と感心しきり。
今大会は「実家にいるとダラけるから。月曜日にご飯と車を借りに行っただけ」とわざわざホテルから”通勤”。昨年同大会でゴルフを教えてくれた祖父に「逃げるなよ」と言われたそうだが、今回もその声は交じっていたに違いない。
コースから車で10分の距離に自宅があるのは小田孔明(田川市)。大会中の7日に、45歳の誕生日を迎えた。昨年は「意気込みすぎて」予選落ち。「家族にもすごく叱られた」というリベンジか、2日目7アンダーを叩きだし予選通過。
「初日の3番を終えたとき、2つボギーで今年もか……と思いましたよ。娘(大学4年)と同じような年齢の子たちばかりで本当にたいへん。この年になると本当に必死で、負けないように頑張っているけど、飛距離も気持ちも全部おいていかれる。でもまあ今日よかったけん。早く家に帰りたいので失礼します」とほっとした表情でコースを後にした。
コースから車で1時間強に自宅がある時松隆光(那珂川市)と清水大成(春日市)は、師匠(篠塚武久氏)も所属(ロピア)も同じで今回は予選で同組。注目の義足のプロ、吉田隼人とラウンドした。
初日は、時間帯悪く激しい雨に見舞われ、時松は前半42。ここ最近”らしくない”不安定感のプレーになりがちな息子に父、慊蔵さんは「久しぶりの応援です。初日の前半で42を叩いて、気合いを入れました」。雨にも暑さにも負けず、大きな声援を送る父の気持ちに発奮したか、初日後半は32、2日目はトータル66で予選通過。
「この予選通過で自信が出てくると思います」。吉田にも大声援を送る慊蔵さんの姿も印象的。「本当に素晴らしい。しかも飛ぶけんね~義足を見せることのほうが、自分でもいいんやね。やっぱり皆ゴルフはやめられんのよ。ナイスパー!!」。ホールアウト後、「がんばってね」と硬く握手を交わしていた。
最後に、ジュニア時代から「九州の怪童」として有名だったベテラン手嶋多一(田川市)がABEMA TVで解説をするためコース入り。じつは、福岡・芥屋GCで行われたABEMAツアー、ランディックチャレンジ10に参戦後だった。
「地元でたくさん大会があるのは嬉しいです。芥屋では、シニア3人(藤田寛之、宮瀬博文)でわいわいと楽しく回ったけど、僕だけ予選落ち。でもチャレンジは若い人とも回れて頑張れます。この大会は、あの2人(金谷と中島)すごいやない。勢いがある」
「かつてのAO対決、その後やったら片山(晋呉)と谷口(徹)、(池田)勇太と(石川)遼なんかを思い出させるよね。僕なら、佐藤(信人)とアゴ対決やね(笑)。でもゴルフより解説は難しいです」と言いながら相変わらずの軽妙トークで大会を盛り上げていた。
PHOTO/Shinji Osawa