長くて軽いFWを使うのは、かなりのリスクが伴う
クラブフィッター小倉です。今回は、「夏ラフ」の攻略法について考えていきたいと思います。この時期のラフは、コースのコンディションやメンテナンスにもよりますが、密集度が高く1本1本が強いので非常に厄介です。欲をかき、長めのクラブを使おうとすると、芝の強い抵抗によりヘッドがボールまで届かず、ほとんど高さの出ないチョロになってしまいます。
このチョロになる原因は、ゴルファーのボールをとらえるスキルにも左右されますが、クラブ選択にも左右されます。芝から打つクラブで距離と高さが出しやすいのはFWですが、FWはショートウッドであったとしても、他のクラブと比べて長く軽いです。長ければボールをとらえる難易度が上がりますし、軽ければたとえヘッドスピードが速くても強いラフに負けてボールまでフェースが届きにくくなります。
さらにFWはソールが広いため、ボールが沈みやすいラフではボールをとらえにくくなります。夏のラフで少しでもボールが沈んでいたら、FWを使うのはかなりのリスクが伴うので、よほどのことがない限り持たないほうが無難でしょう。たとえ、浮いていたとしても、密集度の高い芝にソールが触れることによってかなりの抵抗になります。狙い通りの弾道を打つにはかなりのテクニックが求められるので、ある程度ミスしても大きなけがにならないシチュエーションでのみチャレンジするのが良いと思います。
ウッド型UTは、FWより短く重く設計されることが多く、ヘッドも小ぶりなため、FWよりはラフに強いです。ですがそれでも狙ったところに狙い通りの弾道を打つことはほとんど無理でしょう。例え、きれいにボールをとらえられたとしてもフェースとボールの間に大量の芝が挟まり、打ち出し角やスピン量が毎回変わってしまいます。これはラフからのショット全般に言えることですが、フェアウェイからと同じベストなショットを狙うのではなく、やや手前から一定の安全なエリアを狙うようなハードルを下げたショットをイメージすることが大事ですね。
重めのクラブのほうが、夏ラフの抵抗に勝てる可能性大
大きな抵抗が発生する夏のラフでは、重めのクラブの方が脱出できる可能性は高いです。重いほうが芝の抵抗に対抗できるからです。そういった点からするとFWやウッド型UTより基本設計の重いアイアンのほうが有利ではあるのですが、ロフトの立ったアイアンはあまりお勧めできません。
アイアンのヘッドはFWやUTより厚みがないため、ボールにヘッドを到達させやすいのですが、フェースとボールの間に芝が挟まるのは、どのクラブも同じ。FWやウッド型UTよりもヘッドの奥行きがないアイアンは、ロフト以上の高さを出すのが難しいため、アイアンで打つならば、ある程度自然と高さの出る30度ぐらいのロフトの番手がおすすめです。
夏ラフは、基本的にどんな球が飛び出すか予想が難しいです。もはや半分ハザードといってもよいでしょう。そういったなかで、ある程度安定して打てるクラブとしておすすめなのは、ロフト30度前後のアイアンです。もう少しリスクを背負っても距離を出したいというのであれば、25度前後のウッド型UTですね。
個人的に夏ラフから打つ時に気を付けていることは、クラブ軌道をなだらかにすることと、ちょっとだけフェースを開いて打つことでしょうか。ダウンブロー軌道がきついとラフにヘッドが取り込まれてしまい、振り抜きにくくなります。フェースを開いておくのは、ラフの抵抗で左へボールが飛び出しやすいから。皆さんの考える夏ラフに有効なクラブがあれば、是非コメントで教えてください。