アメリカツアー発信のプロ・アスリートゴルファー向けシャフトとして産声を上げて、日本でも展開されてきた三菱ケミカルの「TENSEI」シリーズ。ツアーで証明された高い実力は、日本でもプロやアスリートゴルファーに瞬く間に広がり、アスリート系シャフトブランドの代名詞となった。ニューモデルの「TENSEI PRO BLUE 1K」をゴルフステージ成城のクラブナビゲーター・吉田朋広がテストしてみた。

三菱ケミカルの「TENSEI」シリーズは毎年新製品を日本市場に投入していますが、2023年7月17日に「TENSEI PRO 1K」シリーズの第3弾のモデルとなる「TENSEI PRO BLUE 1K」が登場します。

2021年に登場した「PRO WHITE 1K」は手元調子の低弾道・低スピンで直進性の高い強弾道が魅力のシャフト。2022年に登場した「PRO ORANGE 1K」はカウンターバランス設計の振りやすさで高い先端剛性でブレのない弾道が魅力のシャフトです。2023年の「PRO BLUE 1K」は中調子でクセのない設計のシャフトのようですが実際はどうなのでしょう? ということで今回は「50S」 と「60S」を用意して検証してみました。

第一印象ですが軽めに感じましたね。調べてみると50グラム台ですが、軽めの54グラムでした。アスリートモデルらしくしっかり感はありますが、意外と振りやすいシャフトに感じられます。

シャフト中間部分はしっかりしていますが、手元部分はしなやかな感じで間がとりやすく、先端剛性も「TENSEI」の中では硬すぎる感じはありません。

メーカー自らクセがないと謳うだけあってスウィングタイプを問わずにシャフトをしならせやすいので、わりと多くのプレーヤーのスウィングやタイミングに合わせやすいシャフトだと思います。

基本的な弾道は中弾道でストレートボールです。アスリート系シャフトとしてはトップで間がとりやすいので、ドローやフェードといったボールを打ち分けやすい、コントロールのしやすさが体感できるシャフトでしょう。装着するヘッドによって弾道は違いますが、ボールのつかまりを重視する方はドローバイアス設計のヘッドに装着するのが良いと思います。

テストで使った「ステルス2HD」とのマッチングでもつかまり過ぎもなく、右へも出にくく、安定性が気になるというアスリートゴルファーでもやさしさを体感しやすいマッチングになるでしょう。
ヘッドスピードが43m/sくらいあれば扱いやすさを感じられると思います。メーカー純正シャフトに物足りなさを感じていて、しっかりしたフィーリングのシャフトにトライしたいけど何を選べば良いか悩んでいる方、手元調子のタイミングが好みだけどうまくつかまえられない時に右へのミスが気になる方、ボールのつかまりは求めるけれど、しっかりと振った時の左のミスが気になる方にオススメしたいシャフトですね。

画像: テストクラブは「ステルス2HD」のヘッドを装着。50Sの振動数が260cpm、60Sの振動数が261cpm

テストクラブは「ステルス2HD」のヘッドを装着。50Sの振動数が260cpm、60Sの振動数が261cpm

「60S」は「TENSEI」の基本スペックかも!?

続いて「60S」を打ちました。こちらも60グラム台としてはやや軽めの61グラムです。

「50S」に比べるとしっかりとしていて文字通り、アスリートイメージのシャフトの感じになりますが、実際に振ってみるとハードなイメージはなく非常にマイルドなシャフトフィーリングです。とくに切り返しでタメが作りやすいので振りやすく感じます。シャフトの重みを感じて切り返しで間を取りたいという人にも使いやすく感じるでしょう。

「TENSEI」シリーズの60グラム台の中では最も楽に切り返しでタメが作りやすい感じがありますので、意識してタメを作らずに手元側をしならせることができますね。

アスリートゴルファーの方はタメを作るためにシャフトのバット側にテンションをかけるよう、強めの切り返しを意識してスウィングしている方も多いと思います。バット側の剛性が高いモデルも多いので、切り返し時にミスをすると、ショットの良し悪しに大きく影響を及ぼします。

「PRO BLUE 1K」なら強めの切り返しを意識しなくても自然にタメが作れ、楽に切り返せるぶん、スウィングにも余裕が出てドライバーショットで緊張することも少なくなると思います。

とくに現在ハードなアスリート系のシャフトを使っていて、今よりも少しやさしいスペックのシャフトにしようと思っている方に最適です。ぜひ試して欲しいですね。

基本弾道もアスリートゴルファーの多くが求める中弾道で、とくにシャフトが打ち出し角上げてくれる感じはなく、ロフト通りのイメージで飛んでくれます。スウィングのエネルギーをインパクト時にロスなくボールに伝えてくれますので推進力のある強い弾道になり、コースではランも期待できるでしょう。

シャフト自体がボールをつかまえてくれる設計ではありませんので、自分のスウィングでボールをつかまえていく必要はあります。クラブにボールのつかまりを求めるならボールのつかまりの良いヘッドに装着すると非常に良いイメージです。テストで使ったドローバイアスのヘッドに装着しても大きく左に巻き込むようなボールは出にくいですし、自然なボールのつかまりが印象的でした。シャフトとのマッチングも非常に良いと思います。
この「60S」、「TENSEI PRO 1K」シリーズの中心になるシャフトというだけでなく、アスリート系のシャフトの基準になるスペックだと思いました。

「TENSEI PRO 1K」シリーズを選ぶならこの「BLUE」の60Sを最初に打ってから決めていくのが良いでしょう。

そうする事で「PRO WHITE 1K」や「PRO ORANGE 1K」の特性もより分かりやすくなるので自分の求めるシャフトが選びやすくなると思います。本来は最初からラインナップしていて欲しかったですね。

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