「14歳のときには今の世界は想像もできませんでした。SNSもないしTikTokもない。それはある意味幸運だったかもしれません。どこに行っても注目されてどこかの店に私が入っていくと雰囲気が変わってしまう。有名になるのは気まずかったです」とセンセーショナルな形でゴルフ界に登場した頃の自分をウィは笑顔で振り返った。
アマチュア時代何度もメジャーで優勝争いをしたもののプロ入りしてからは期待されたほどの成績は残せずウィにしては物足りない通算5勝。それでも14年の全米女子オープンで優勝しメジャーチャンピオンの仲間入りを果たした。
時は流れ同じスタンフォード大学出身のローズ・チャンがアマチュア最高の実績を引っ提げ今年プロ転向。デビュー戦で優勝しウィとしてはスタンフォードのタスキをチャンに託すことができた。
「彼女の出現にとても興奮しています。いつだって力になりたい。彼女だけでなく若い選手がこれからも私を頼って相談してくれたらいいと思っています。スポーツ内外を問わず女性の力になりたい」
メジャー1勝にとどまったのは手首のケガもあった。「チャンピオンらしいプレーをしなくては」と期待に応えたいあまり無理をして体だけでなくメンタル面にも支障をきたし「もうゴルフは続けていけないかも」という気持ちが大きくなった。
しかし彼女の調子に関わらずここ10年で米女子ツアーはあらゆる面で成長を遂げた。「ペブルビーチはバルタスロール(全米女子プロの舞台)など男子のメジャーがおこなわれてきた有名コースで女子のメジャーが開催されるのはすごく意味のあることです。賞金も上がって女子が優勝で200万ドル(3億円近く)を稼げるようになった。メディアの扱いも大きくなり注目度も上がりました。この状況がとても誇らしい」。
「メジャー大会で若い子が優勝するのを見るのが好き」という彼女は全米女子オープンに向けて「練習はしてきたし夢は最終日最終組です」と笑顔を見せた。
引退後は庭にたくさん生ったキューリで「ピクルスを作りたい」。一世を風靡したウィは後輩の良きアドバイザーとして第2の人生をスタートさせる。