「トミーアカデミーがなかったら今の自分はない」
黄金世代13人目のツアー優勝を遂げた小滝水音選手。最終日の後半に同世代の小祝さくら選手に並ばれましたが5連続バーディで一気に突き放す勝ち方が印象的でした。
昨年、中嶋常幸プロの主宰する「ヒルズゴルフ トミーアカデミー」のセレクションをした際に、お手伝いをしていたアカデミーの一期生でツアーで活躍する小滝水音プロに話を聞くと、「トミーアカデミーがなかったら今の自分はない」と語っていました。
「親は送迎だけでアカデミー内には入れない決まりなので、子供たちだけで合宿や練習に参加して、厳しいトレーニングや練習をしました。アカデミー内の同世代の子は、ライバルというより一緒に乗り越えてきた仲間という存在ですね。そのおかげで厳しい合宿も乗り越えられましたし、プロテストも合格できました」(小滝水音プロ)
アカデミーで出会った仲間たちや乗り越えて来た経験が、ツアー初優勝をつかむ原動力になったことは間違いないでしょう。
ゆっくりと始動するテンポが変わらない
それでは最後まで安定していたスウィングを見てみましょう。腕をだらりと垂らした力みのないアドレスから、ゆっくりとしたテンポでしっかりと捻転したトップを取っていました。
緊張する場面でもテークバックのテンポが一定でまったく崩れなかった点が安定したショットにつながりました。
緊張するとつい早くなりがちですが、三拍子なら「イチ、ニイ、サン」や「チャー・シュー・メン」、二拍子なら「バック・ヒット」など口ずさんでみるとヒントになるはずです。
切り返し以降は肩のラインは開かず、わき腹から下のターンは先行しています。こうすることでクラブはナチュラルにインサイドから下りて来ますし、腹筋をギュッと縮め、当たり負けしない力強いインパクトを実現しています。
ポイントは胸椎の回旋にあります。一般的に腰椎の回旋は5度、胸椎の回旋は30度くらいあると言われています。そのため腰のラインと肩のラインの捻転差は、可動域の差で作られます。
捻転差を体感するドリルを一つ紹介します。アドレスの状態からおへそをターゲット方向にターンさせインパクトの形を作ります。このときに肩のラインを開かずにお腹を引っ込めて、左わき腹を後ろに回すよう意識してみましょう。肩のラインが開かない上半身と下半身の捻転差を体感できるはずです。
小滝選手にとってこの1勝は自信をつける大きなターニングポイントになるはずです。正確なアイアンショットとパッティングで上位で戦う姿がこれからも見られそうです。
写真/大澤進二