
楽天スーパーレディースで、史上9人目の10代でのツアー2勝を達成した櫻井心那
「こんなに早く2勝目を挙げられると思っていなかった」(櫻井)
昨年は夏場にステップ・アップ・ツアーで5勝、今年も酷暑の中で快進撃。レギュラーツアー初優勝をつかんだ資生堂レディス(6月29日~7月2日)からわずか4週後、櫻井が早々と2度目の頂点に立った。
鈴木愛に2打差の2位から最終日に臨み、66の好スコアをマークして見事な逆転勝ち。
「こんなに早く2勝目を挙げられると思っていなかったから少しびっくりしているけど、1勝してから優勝できるという自信はついたので、自分を信じていました」
と笑顔で振り返った。
19歳とは思えない勝負強さだった。
10番のバーディで単独首位に立って迎えた13番パー5。
「ここでバーディを取らないと勝てない」
と意を決して臨んだホールで1メートルのバーディパットを外し、先に長いバーディパットを決めた鈴木に首位に並ばれたが、集中力を切らさなかった。
続く14番でピン奥から1メートルのバーディパットを決めて単独首位を奪回。そのままVゴールへ飛び込んだ。
「愛さんが長いのを入れて、自分が打つときに邪念が入って……。順位を考えてしまって、外してからすぐにわかりました。次(14番)は絶対にバーディを取ってやると、全集中でいきました」

今週4日間のドライビングディスタンスは270.75ヤードで、岩井明愛(274.25ヤード)に次いで2位
2勝目も抜群の飛距離にものをいわせた。
519ヤードの4番パー5はティーショットを300ヤード近く飛ばし、ピンまで残り211ヤードを4Uで7メートルに2オンさせ、イーグル外しのバーディ。
533ヤードの7番パー5も第2打をピンまで30ヤードの手前エッジまで運び、アプローチを30センチに寄せてスコアを伸ばした。
今週4日間のドライビングディスタンスは270.75ヤードで、岩井明愛(274.25ヤード)に次いで2位。敗れた鈴木は
「櫻井さんは飛ぶんで……。あれだけ番手が違うと」
と脱帽した。
19歳167日でのツアー2勝は、日本選手では畑岡奈紗、宮里藍、笹生優花に続く年少記録となった。
「顔ぶれが豪華すぎで。私は本当に下手くそなので、あまり並べてほしくはないですけど、10代で2勝できたことは自信にしたい。もちろん、将来的には先ほどの皆様のようにアメリカや海外で活躍したい思いはあります」
昨年は下部のステップ・アップ・ツアーで新記録の5勝を挙げて同ツアーの賞金女王に輝いた。舞台がレギュラーツアーに替わった今年も早くも2勝。
勢いに乗って勝ちまくった昨年のムードが漂い始めた。
「ステップの時も1勝して、2勝目をして、勝ち始めた感じなので、今年も波に乗りたいです」
地元長崎での国内メジャー初制覇を目指す

日傘で暑さをしのぎながらラウンドする櫻井
今後の目標は所属契約選手として迎えるニトリレディス(8月、北海道小樽CC))と地元長崎県で開催される日本女子プロゴルフ選手権コニカミノルタ杯(9月、パサージュ琴海アイランドGC)。
「地元の大会なので、調子を合わせて、そこでの優勝を目標にしています」
来年夏にはフランスのパリで五輪が開催されるが
「オリンピックに出たい気持ちはあるけど、今は目の前のことに一生懸命で考えていなかった」
とまずは地元での国内メジャー初制覇を目指す。
櫻井(2004年2月生まれ)をはじめ川﨑春花、尾関彩美悠、佐藤心結、竹田麗央ら2003年度生まれの世代たちは「ダイヤモンド世代」と呼ばれることがある。なぜこう呼ばれるかは、どうやら世代に属する選手たち自身による発信にあるらしい。
「言い出したのは(世代の)みんなです。ファンの方がエメラルドみたいに言ってて、ちょっと違うよね、それよりダイヤモンドの方が輝きがいいんじゃないかと。去年くらいから言い始めました」
ダイヤモンドの原石から光り輝く本物のダイヤモンドへ。
「ダイヤモンド世代」は「黄金世代」を超えられるか?
PHOTO/Hiroaki Arihara