テーラーメイド「ミルドグラインド」シリーズの特徴は、フェースだけノーメッキな点とソールをCNCミーリングで個体差を徹底的に減少させたこと。新モデルの「ミルドグラインド4ウェッジ」(以下、MG4)は見た目の形状とフェースのミーリングを進化させて登場しました。
ノーメッキにフェース面の細かいミーリング
フェースを拡大してみると、溝と溝の間に斜めの細かいミーリングが見えます。溝やミーリングの役目はフェースとボールの間の水分や芝を逃がすことでスピン量を確保することですが、ノーメッキでもミーリングを施すことによって、その耐久性を高めているといいます。
実際に触ってみるとスピンが効きそうなザラザラした感触でした。フェース面のみノーメッキなので装着されたフィルムを剥がした瞬間は画像のような色味ですが、使用し始めると時間が経つにつれ色味が変化していきます。
「CATレディース」の練習日に、早速実戦投入していた山路晶選手に話を聞くと「打ちやすいしめっちゃスピンが効いてくれます!」とご満悦な様子。
実際にコースで使ってみると、スピン性能は控えめにいっても"マンスピン"でした。もちろんスピン性能は溝やミーリングだけでなく、クラブの重心位置にも大きく左右されるので、その辺りをじっくり見てみましょう。
ロフトごとに重心位置を最適設計
56度のスタンダードバウンスのモデルを例に見てみると、バックフェースの上部に厚みを持たせ重心位置を下げすぎないような工夫が見て取れます。リーディングエッジも前作よりも丸みを持たせ全体的にボールを包み込むようなフォルムになっています。
ダウンブローに入る角度が強くなるウェッジの場合、低重心にしすぎてしまうと、重心よりも上で当たりやすくなります。そうするとスピン量が減り、距離感も合わせづらくなりますので、各社ともツアーモデルやアスリートモデルに関しては、重心位置を下げすぎないようロフトごとに緻密に配置しています。
「MG4」でもロフトごとに重心位置の高さを変えながら、最適なスピン量やコントロール性を高めています
3種類のバウンス形状を選べるようにラインナップされています。例えば58度のロフトだとスタンダードは11度、ハイバウンスは12度、ローバウンスは8度ですが、56度だとスタンダードは12度、ハイバウンスは14度、ローバウンスは8度とロフトごとにバウンス形状も変えています。
PWの代わりになる46度から2度刻みで60度までラインナップされているので、自身のプレースタイルに合わせて選べるのも◎。PGAツアーでは56度のややハイバウンスでグリーン手前や距離のあるバンカーから使い、60度はバウンスを少なめにしてショートサイドから使用するといいます。
何度のロフトのPWを使っているかにもよりますが、日本ではスタンダードな52・58度の組合せだけでなく、52・56度や54・58度、56・60度の組合せにバウンス角も考慮して選ぶとウェッジゲームが向上することでしょう。
タイガーが使用するウェッジに限りなく近い"TWグラインド"
最後に限定発売の「MG4TWグラインド」モデルを紹介します。残念ながら試打することは叶わずに写真撮影だけでしたが、CNCミーリングのおかげでタイガーが使用するウェッジに限りなく近いモデルを手に取ることができました。
見た目は丸みを帯びたフォルムとストレートネック、56度はしっかりと12度のバウンス角があります。60度のロブウェッジもローバウンスではなく11度と表記されていますがヒール側が落とされていて、フェースを開いて使う際に邪魔にならないようなグラインドになっています。
ウェッジはフルショット、ラフやバンカー、芝の薄いライまで様々な状況に対応する必要がありますので、フェースが大きすぎれば抵抗になり、小さすぎると芝の下に潜り込んでしまうこともあります。その点、適度な大きさを持たせてある「MG4」は、難しい場面でもやさしく打ててかなり好感触でした。
PGAツアーではタイトリスト「ボーケイ」の使用率が高いですが、選手からのフィードバックを基に確実に進化した「ミルドグラインド4」も手に取ってみることをお勧めしたいと思います。