難関のプロテストにファイナルから出場できる選手たち
女子プロテストは年々厳しさを増している。昨年は約600人が出場し、合格者はトップ合格の神谷そらをはじめ、わずか20人。合格率3%前後という、東大合格よりも狭き門となっている。昨年はツアーでも活躍しているアマチュアの六車日那乃や吉田優利の妹・鈴も涙を飲んだ。
今年も600人を超える選手が受験しており、昨年を上回る激戦となっている。
それほどの難関テストを受けるに当たり、第1次、第2次予選が免除され、最終プロテストから出場できることは、大きなアドバンテージだろう。
日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)の規定によると、最終プロテストから出場できる権利を与えられる選手は、20、21、22、23年の日本女子アマ優勝者、日本女子学生優勝者、日本女子オープンローアマ、7月28日時点のロレックスランキング50位以内、同じく世界アマチュアランキング10位以内、さらに今年のナショナルチームメンバーとなっている。
飯島早織(ルネサンス高3年)は今年の日本女子アマ優勝でこの権利をつかんだ。18日が最終日だった日本ジュニア女子15歳〜17歳の部は2位。アマタイトル2冠は果たせなかったが、第1次、第2次免除の特権を生かし、実戦の場でプロテストへ向けた調整も行っていた。
「これからはプロテストが目標です。最終で20位以内に入らなくては合格できないので、緊迫した中でどれだけ耐えられるか、安定したスコアを4日間出せるかがカギだと思う。日本ジュニアは優勝できませんでしたが、プロテストへ向けて直すべきところを収穫する試合と位置付けていました」
今年のトヨタジュニアワールドカップ(個人)を制した荒木優奈(日章学園高3年)は今年のナショナルチームメンバーと世界アマランクの資格で条件を満たした。
「今年の最終プロテストに合格して、QTを通過して、来年のレギュラーツアー出場が目標です。プロテストを目指す上では、ナショナルチームに選ばれたのが本当に大きかったです。十分な準備期間が作れますから」
今年のナショナルチームメンバーで受験資格があるのは荒木、上田澪空(共立女子第2高3年)、手塚彩馨(佐久長聖高3年)、橋下美月(東北福祉大3年)、馬場咲希(代々木高3)の5人。
馬場は昨年の日本女子オープンローアマでもあり、世界アマランク10位以内の条件もクリアしているが、今年は世界アマランクの資格を申請し、特権を付与された。
1次からプロテストを戦う選手のメリット
ちなみにナショナルチームメンバーがその年の最終プロテストから出場できる権利を与えられるようになったのは19年から。日本ゴルフ協会(JGA)の提案が採用されたもので、その中心的な役割を担ったJGAの内田愛次郎・選手育成・強化統括部長はこう振り返る。
「2016、17、18年あたりのデータを見ると、勝みなみの代をはじめ、ナショナルチームのメンバーはほぼ100%プロテストに合格していた。ナショナルチームに入るためには、日本ランキングが上じゃないと入れないし、ランキングで上にいくためには、日本女子アマ優勝とか日本女子オープンローアマとかのタイトルを持っていないといけない。そのタイトルを持っていれば元々ファイナルからになるわけですから、ナショナルチームメンバーに関しては(ファイナルからにして)そんなに遜色はないだろうということでした」
ここで第1次予選から出場して、難関突破を目指す選手の声も聞いておこう。
第1次予選のE地区を通算13アンダーでトップ通過した菅楓華(日章学園高3年)は今年の日本ジュニア女子15歳〜17歳の部で4位の実力派。
「ファイナルから出られるのが一番いいけど、いきなりガーンといくと、プロテストがどういうものか分からないので、1次から出れば、1次と2次はこんなだったとわかるので、最初からでも全然いいと思います」
19年以降はQT出場者がJLPGA会員に限られると規則が変わったため、ツアーに出場するためには、基本的にプロテストに合格するしか道はない。狭き門がさらに狭くなっている中、注目の“プラチナチケット“組が最終プロテストの20位以内に残れるのか。最後まで目が離せない。(※敬称略)
※女子プロテスト 年に1度行われ、その年の4月1日時点で17歳以上の女子(出生時)に受験資格がある。そのため今年のナショナルチームメンバーの新地真美夏(共立女子第二高1)テストは第1次、第2次、最終プロテストの3回。最終は20位タイまでが合格となる。昨年は約600人が第1次予選を受験し、合格者はトップだった神谷そらをはじめ20人。
※2023年8月28日0時11分本文を一部修正しました。