「ヘッドが走る」「ヘッドを走らせる」といったワードをレッスン記事や動画で目にする機会は少なくないだろう。
ヘッドが走るとは、その字面通りヘッドが加速すること。「より詳しく言うなら、スウィング中のシャフトのしなり戻りに加え、コックのリリースやフェースローテーションといった手首を使った動きでスナップを利かせることで、大体ダウンスウィングの最下点辺りでヘッドがさらに加速する現象のことですね」とJJコーチ。
ヘッドの加速はもちろん飛距離アップにもつながる大切な動作だが、ビギナーが意識すべきかというと「最終的にできたほうがいいのは大前提ですが、とくにまだゴルフを始めたてという方は一旦意識しないほうがいいかもしれません」とJJコーチは言う。
「いくつか理由があって、まずビギナーの方はアイアンでスウィングを覚えることが多い点。もちろんモデルによりますが、アイアンはスチールシャフトが採用されているケースが比較的多いため、ヘッドが走る感覚が把握しづらい、もしくはそもそもシャフトがしならず走らせることができません。
他にも『手首を主に使う動作を意識し過ぎて、胸が回らなくなる』『始動の段階で手首を使い始めて開いてテークバックし始めてしまう』といった手首を使う量やタイミングを間違えてしまいがちですね。あと稀にですが『手首の使い方が上手過ぎてフェースが被っちゃう』パターンもあります」(JJコーチ、以下同)
ゴルフを始めたばかりのビギナーがこれらのミスを防ぐためには、まずヘッドを走らせることを意識せずスウィングの基礎を磨くことに尽きる。「コンスタントに練習を続けていくと僕のレッスンの経験上、3ヶ月くらいでクラブを振り慣れて体の使い方やスウィング中のヘッドの動きが感覚的につかめてくると思います」という。
では、ある程度振り慣れたゴルファーはどんなことを意識したらいいのだろうか。「左手の親指にクラブが乗っている感覚がある状態のトップを作ってみてください」という。
「ヘッドが走らない方の多くは、手首が力みなどで固定されているような状態のトップになっていて、そもそも走る要素がなくなってしまっています。なので手首を柔軟に使うための目安として、左手の親指にクラブの重量を乗っているかどうかを確認してみてください。手元に力が入り過ぎていると重量を感じることができませんが、柔らかく使えていると左手親指に重みを感じることができますよ」
とはいえこれはヘッドを走らせるために最低限気を付けるべきこと。さらにヘッドを走らせたいとなれば、そもそもヘッドスピードを上げたり、シャフトやクラブ選びの問題にもつながってくるという。いずれにせよ、ビギナーに向けて結論を出すならば、ある程度振り慣れるまではヘッドを走らせる動きは意識せず、スウィングの基礎を整えたほうが吉ということだ。
協力/Tom's Bishon草加店