ツアー解説でおなじみの佐藤信人プロ。今回は、シニアに入って絶好調なメジャーチャンプ、パドレイグ・ハリントンについて語ってくれた。
画像: 「以前から練習場で様々なドリルを行っていたハリントン。シニアになった今もいろいろなドリルを自ら考案し、試しているのをSNSで見かけます」by佐藤信人

「以前から練習場で様々なドリルを行っていたハリントン。シニアになった今もいろいろなドリルを自ら考案し、試しているのをSNSで見かけます」by佐藤信人

レッスン好きのパドレイグ・ハリントンは教え方、伝え方が丁寧

51歳ながら元気と勇気を与えてくれるのが、P・ハリントン。

シニアルーキーの昨年は全米シニアオープンで優勝。今年6月、米シニアツアー5勝目となったディックススポーティンググッズOPでは、最終日の上がり7Hで7アンダーの爆発力を見せ勝利。7月末の全英シニアオープンでは、ドイツのA・チェイカに敗れたもののプレーオフに進みました。

全米プロシニアで回った宮本勝昌によれば、「ハリントンには30Y 置いていかれた」と。ちなみにその20Y先には、スチュワート・シンクのボールがあったそうです。

活躍はシニアツアーだけにとどまりません。6月の全米オープンは、昨年の全米シニアオープンの優勝者としての資格で10年ぶりに出場。5月の全米プロ、7月の全英オープンのメジャー3試合で4日間を戦いました。このメジャー3試合を含め、今年のPGAツアーでは7試合すべてで予選通過を果たしています(8月17日現在)。

40代後半は選手としては峠を越え、少し燃え尽きた感のあったハリントンですが、コロナ禍による休養とシニア入りを境によみがえってきたようです。

07、08年には全英オープンを連覇、08年には全米プロも制するとともに、米ツアーと欧州ツアーで同時に最優秀賞にも輝きました。

06年から3大会連続でライダーカップに選出され、20年にはキャプテンも務めました。そうした経歴に加え、話も面白くて興味深く、ポッドキャストやYouTubeチャンネルにも引っ張りだこ。自身の開設したYouTubeチャンネルは、ボクのお気に入りです。

ハリントンは欧米の選手には珍しく、プロアマで必ずレッスンする選手です。教えるのが好きなのでしょう。そのレッスンがとても丁寧で、YouTubeなどでも魅力がいかんなく発揮されています。そしてゴルフへの考え方には、ボクも賛同することが多いのです。

たとえば飛距離について。多くのアマチュアは、スウィングの形やテクニック、道具で飛ばそうとします。しかしハリントンは「新しいドライバーを買うくらいなら、スウィングスピードの測れるモニターを買え」と。それでヘッドスピード(HS)を測り、どんなスウィングでもいいから少しでもHSを上げ、スウィングの形やテクニックはその後でよいと。アイアンの精度も然り。

また、スライスの人がスライスを直したければ、スウィングをあれこれイジるのではなく「超のつくほどのどフックを打てばいい」と言います。ちなみにHSを上げたければ、手首や腕を使えと。ボディターン、シャローイング、地面反力といった情報をインプットする前に、手首や腕を使ってHSが上がれば、それに勝手に体はついてくる、というわけです。多くのレッスンは順番が間違っているという考え方ですね。

YouTubeチャンネルはコロナ禍で試合がなくなった時期、ハリントンが48 歳頃に始まったのですが、彼の元気を取り戻すきっかけにもなったのでしょう。7番アイアンをフルショットできる自宅の庭も驚きですが、一度覗いてみる価値がありますよ。

※週刊ゴルフダイジェスト23年9月5日号「うの目 たかの目 さとうの目」より

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