会場となった富士桜カントリー俱楽部は、7424ヤード・パー70とツアー史上最長の距離に、硬く速いグリーン、深いラフと日本オープンのようなセッティング。アンダーパーはわずかに8名とその難しさを物語ります。6月の「BMW 日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ」でも優勝していることからも難しいセッティングで力を発揮するのが金谷選手です。
タフなセッティングで強さを発揮する金谷拓実
距離が長くグリーンも硬いセッティングで強さを発揮している理由は、やはり松山英樹が待つPGAツアーの舞台を想定して練習しているからなのでしょう。
現地で取材をした昨年のマスターズで、金谷選手は惜しくも予選通過はなりませんでしだが、予選通過ライン上での戦いの中、最後まで攻める金谷選手らしいプレーを貫いていました。最後の3メートルのバーディパットを決められずに予選敗退した姿が印象に残っています。
速いグリーンでの対応も含めてマスターズで上位で戦うためには、どんなスキルが必要なのかを日頃から考え準備していることで、難しいセッティングでも力を発揮できることにつながっているのだと思います。
同組でプレーした片岡尚之選手のキャディを務めた栗永遼キャディによると「弾道の高さとスピンコントロールのレベルが非常に高かった」といいます。
フェアウェイからでも止まらないほどのグリーンの硬さがある場合は、スピン量と弾道の高さというよりは落下角度が重要になります。PGAツアーではグリーンを狙うアイアンショットでは50度の角度が求められ、女子のセッティングでも落下角度45度は確保したいというのがツアーで求められるアイアンやUTの球質の条件になっています。
金谷選手は左手の甲が正面から見えるストロンググリップでクラブを握り、フェースの開閉をあまり使わないスウィングなのが特徴ですが、スピン量を確保するためのヘッドスピードや入射角、安定した打点といった条件をトレーニングを積み重ねて、体力をアップし作り上げてきています。
お尻のラインが決してボールに近づかない
ここでは、後方からの画像でお尻のラインに注目してみましょう。ダウンでお尻のラインがボール方向に近づくと手元の通り道が狭くなり、クラブ軌道や打点がズレてミスにつながります。金谷選手は体が伸び上がる動きが一切入らず、前傾姿勢をキープすることで正確なインパクトを実現しています。
お尻が前に出ず、前傾姿勢をキープするためには、ダウンでお腹にしっかりと力が入ることが大切です。背中に丸みを持たせ、腹筋を縮ませるイメージを持つと腰が伸びることを防げるようになります。
「BMW日本ゴルフツアー選手権」でもタッグを組み、笹生優花の全米女子オープンを支えた名キャディのライオネルさんとのコンビも大きな力になっていますね。来年のマスターズ出場を目指して世界ランキングを上げるためにも後半戦の戦いに注目していきたいと思います。