ラウンドの出だし、朝イチのティーショットはなるべくつまずきたくない一打だろう。そのためにまず大事なのは「しっかり体が動くかを再度確認することです」と兼濱は言う。
「スタート前にウォーミングアップをしていたとしても、待ち時間があったり、季節によっては体が冷えてしまったりで、動かしづらい状態に戻ってしまうなんてことは十分あり得ます。なのでアドレスする前やショットの待ち時間に連続素振りを行って、体が動く状態になっているかを再度確認してほしいですね」(兼濱、以下同)
そしてティーアップの位置にも一工夫。「自分がティーイングエリアに立ったときに、ホールの“使えるエリア”が一番広く見える場所にティーアップしましょう」という。
「ホールを効率よく回るための戦略はもちろん大事なんですが、出だしから攻めた結果ミスをしてショットに悪い印象を持ちたくないので、とくにスタートホールに関しては安心感が第一優先だと個人的には思っています。自分の持ち球とコースとを照らし合わせて、木などの障害物が弾道を遮らなさそうな、自分にとってホールの“使えるエリア”が広く見えるところにティーアップしましょう」
千葉県・太平洋クラブ八千代コースの10番ホールを例にすると、まずティーイングエリアの先が林となっているため(写真A参照)、ドローボールが持ち球の兼濱にとってはティーアップ位置が真ん中から右寄りだと、右サイドにある林が弾道の邪魔になる恐れがあり、打ち出せるエリアがより限定されてしまう。したがって右の林が比較的干渉しにくく、安心感を持って打てる左寄りの位置にティーアップしたわけだ。仮にスライサーがティーアップするならば、右寄りにティーアップして左へ打ち出す、といったように適切なティーアップ位置が真逆となることももちろんあり得る。
さて、安心感の持てるティーアップ位置を決めたら、あとは打つだけ。その際に大切なのが「自分のショットに期待することのハードルを、自分の中で一番下まで下げること」だという。
「例えば僕の場合、朝イチのティーショットはスウィングのリズムのことしか考えていません。ちゃんと自分のリズムでフィニッシュまで振り切れたらオッケーで、ショットの結果は二の次にしています。どういう目標を設定するかは人それぞれですが、自分が越えられるであろうハードルを設定することが大事ですね」
ハードルを下げに下げて、自分の設定した目標の達成に集中することで、余計な思考が挟まらずショットに集中できる。もしショットの結果が悪かったとしても、自分の設定したハードルを乗り越えることで、少なくともメンタル面は出だしからつまずきにくくなるというわけだ。
続くセカンドショット、次のホール、そしてラウンド全体の流れをよくするために、まずは安心できるティーアップ位置を探すこと、そしてハードルを下げること、この2点に気を付けてみてはいかがだろうか。
協力/太平洋クラブ八千代コース