パターの性能はネック形状に大きく左右される
クラブフィッター小倉です。今回は、パターのネックの違いについてです。最近パターで注目されているのが、テーラーメイドのトラスホーゼルを搭載したモデル。棒状のネックではなく、三角形状のネックを採用することでネックの剛性を高め、オフセンターヒット時のヘッドのブレを軽減させる効果があります。パターのネックは、そのモデルの性能を表すポイントのひとつ。代表的なネック形状を改めておさらいしてみましょう。
「クランクネック」はパターで最もポピュラーなネックといって良いでしょう。クランクネックのメリットは、構えやすい、ボールをつかまえやすい、比較的誰でも使いやすいといった点が挙げられます。構えた時に、フェースに対してネックが直角のラインを作ってくれるので、目標に対して正確に構えやすいです。
シャフトを空中で支えたときに、フェースがどのくらい傾くかでボールのつかまり具合がわかる重心角が適度なため、ヘッドがスムーズにターンしやすく、フェースが後方に下がっているフルオフセットになっているため、右へのミスを軽減してくれます。
重心角が適度なため、ワイパーのようなヘッド軌道を描く、アークタイプのゴルファーでもヘッドをまっすぐな軌道でストロークしたいストレートタイプのゴルファーでも扱いやすいです。
最近様々なヘッドに採用されているのが「ショートスラントネック」。ネックが短いため、フェースのブレードラインと重なる部分が少なく、こちらのほうが構えやすいと感じるゴルファーもいるでしょう。特徴としては、シャフトを支えたときのフェースの傾き具合はクランクネックより大きく、ストローク中のヘッドターンをしようとする力は大きく、ゆったりと動きます。アークタイプのゴルファーにマッチするネックです。
「センターシャフト」は、フェース面上の芯に向かってほぼまっすぐシャフトが刺さっているモデルをさします。重心距離がなく、まっすぐ芯に向かっているモデルと、ヒール側に微妙に位置をずらしてシャフトが刺さっているモデルがあります。センターシャフトのメリットは、握るグリップ部分と打つべきフェースの芯が延長線上にあることにより、直感的に芯でヒットしやすいという点です。バットやラケットに近い扱いやすさがありますね。
「ベントネック」はヘッドにネックがほとんどなく、シャフトを直接曲げてネックの役割を持たせているモデルを指します。シャフトの曲げ具合によって様々な特性を持たせることができ、クランクネックのようなヘッドの傾き具合にオフセットを付けたタイプやフェースが真上を向く、オートマチックに振りやすいタイプまで様々なモデルがあります。メリットは、シャフトの曲げ方次第で、モデルの特性を変えられるという点と、ネックがないため、ヘッドの重心が低くなりやすく、アッパー気味にストロークするゴルファーにマッチしやすいという点が挙げられます。
また、写真にはありませんが「L字ネック」は、アイアンと同じようにヒールの端にネックがついている形状。ショートスラントネックよりさらにフェースの傾き具合が大きく、アイアンと同じような振り心地が特徴です。アプローチと同じようなフィーリングでパッティングできることが最大のメリットです。
以上、5つのネック形状の良い点を簡単にご説明しました。パターというクラブは、ゴルフクラブのなかで、最もルールの幅が広いクラブです。それだけに様々なモデルがあり、振り心地も様々です。個々の性能は、ヘッドはもちろんネックでも大きく左右されるのでネックの特徴を覚えておけば、より自分の好みのパターを見つけやすくなります。皆さんの最高の相棒と出会うきっかけになればうれしいです!