①上体をトップの位置に置いたまま②右足で右方向に踏むと、骨盤が左にスライドする。③一瞬、左足で体の前に押し、左脚を伸ばしていく⓸左腰が後ろに下がって体が回旋する
イスでもスウィングでも、足を踏む方向は大切
O編 わきゅうに教えてもらったイスの運動は、本当に参考になったよ。キャスター付きのイスに座ってクルクル回るだけなのに、脚でスウィングする感覚がよくわかった。
坂詰 あぁ、それはよかった。
O編 いやぁ、脚でスウィングするためには、思っていたよりもはるかに強く足で地面を押す必要があるんだって痛感したよ。
坂詰 そこがわかってもらえたら嬉しいですね。たとえば、キャスター付きのイスに座ったとき、両足を床から離したら、絶対に回れないでしょ？ 両足を床につけ、足で床を押すから回れるわけです。スウィングするときもそれと同じ。足で地面を押して、左脚を伸ばすから、体を素早く回旋できるんですよ。
O編 お～。当たり前だけど、確かにそうだね。あと、つま先で地面を押すよりも、かかとで押したほうが、力が出るっていう話も、目からウロコだった。
坂詰 そういうことも、キャスター付きのイスに座って、足で床を押してみれば、実感できますよね。つま先よりもかかとで押したほうが、明らかに力が出ますから。それと、イスで上手く回るためには、踏む方向が大事だってことも理解してほしいですね。
O編 どういうこと？
坂詰 キャスター付きのイスに座ってクルクルと左回転するためには、まず右足で床を押しますよね？
O編 前々回の話では、いきなり左足で押しても上手く回れないから、まずは右足で床を押して、それから左足で押すってことだったよね。
坂詰 ええ。そのとき、右足は、体の左方向に力が働くように、体の右に向かって押すわけです。
O編 そうすることによって、左足の上に乗れるから、左足で床を押す準備ができるわけだね。
坂詰 で、そこから左足で床を押すんですが、右足と同じように体の右に向かって押したら、イスは左に動くだけで、上手く回りません。
O編 あぁ、そうだね。
坂詰 さらに、単純に床に向かって、つまり、真下に押しても素早く回れませんよね？
O編 うん。回れないね。
坂詰 じゃあ、上手く回るにはどうしたらいいかと言うと、一瞬、体の前に向かって押すんですよ。
O編 ん？ 体の前？ ちょっと、キャスター付きのイスに座ってやってみるね……。
おぉ、確かに！ 全然意識してなかったけど、イスに座ってクルクル回ろうとしたら、左足は自然に体の前に向かって押しているね！
坂詰 でしょ。そうやって、左足で体の前に押して、体の後ろに力を使うことで、回転運動になるんです。
O編 スウィングも同じってこと？
坂詰 そういうことです。トップからは、上半身をトップの位置に置いたまま、右足で右に押す。すると、骨盤が左にスライドするので、そこから一瞬、左足で体の前に押して、左脚を伸ばすんです。すると、体は自然に回旋するんですよ。
反復練習でしか新しい動きは身につかない
O編 それができれば、体や腰を回す意識がなくても体が回るってことなんだね。でも、そんなにたくさんのこと考えながらスウィングできないよね？
坂詰 だから、イスを使って回るんです。それができたら、正しい力の使い方ができた証拠ですからね。
O編 あぁ、その感覚でスウィングすればいいってことか。
坂詰 あとは、イスで回るときの力の使い方、足の押し方を意識しながら、クラブを持たずにシャドースウィングをするといいですね。そうやって反復練習するしか、新しい動きを身につける方法はないんですよ。
O編 なるほどね。やってみるよ。
坂詰 いま、プロがやってるトレーニングって、基本ジャンプとスクワットとツイストなんです。それは、足で地面を押して回旋する動きの精度や速度をアップさせるためのものなんです。その感覚を理解するためには、キャスター付きのイスで回る運動が最適なんですよ。
PHOTO/Takanori Miki THANKS/エースガーデン（八王子）
※週刊ゴルフダイジェスト2023年10月10日号「ひょっこり わきゅう。第35回」より
