2011年スタンレーレディスで、有村智恵がアルバトロスとホールインワンを同日に達成した達成したことでも知られる東名CC。TV観戦やプレーのポイントをゴルフトレンドウォッチャー、コヤマカズヒロが解説。

スタンレーレディスホンダの見どころを解説

静岡県裾野市にある東名カントリークラブ。かつてはゴルフダイジェストトーナメントの舞台として、男子ツアーで使用され、現在はスタンレーレディスホンダ開催コースとして、女子ツアーで存在感を放つ歴史あるコースだ。

東名CCは、愛鷹・裾野・桃園の3コースがあり、トーナメントでは裾野コース(OUT)と桃園コース(IN)が使用される。富士のふもとにあるため、この3コースいずれもが、前半ホールは登ってまた登って、後半のホールからは下っていくレイアウトになる。つまり、18ホールをプレーすると、登って下ってを2回繰り返すことになる。

様々なゴルフ場がある中で、これほどハッキリとした特徴があるコースもなかなかない。ほとんどのショットが打ち上げか打ち下ろしとなり、傾斜地でのショットスキルが非常に求められるコースだ。

富士山の大きな傾斜に影響されるため、グリーンは富士山に向かって強い逆目になりやすい。そのため、打ち上げのホールでは上り傾斜が見た目以上にきつくなり、逆に打ち下ろしのホールでは受けているように見えて、意外と奥に速かったりする。

そのため、攻略のカギとなるのは、手前から順目になる富士山を背にするホールだ。奥にこぼすことが多くなるため、特にラフからのショットは注意が必要になる。

その上、グリーンは高速で傾斜の強いところも少なくない。微妙なアンジュレーションと芝目の影響もあるので、このグリーンをいかに攻略するかが、大きなポイントになる。

もうひとつ、大きなポイントとなるのが、フェアウェイ幅が狭いホールが多いことだ。谷やOBが見えたりしてもともとタイトな幅に、難しいフェアウェイバンカーを配置している9番や17番など、横幅が20ヤードを切るところもある。

打ち下ろしホールでは、ティショットのランディングエリアが傾斜になるところも多く、運不運の要素が強く、ややトリッキーに感じるホールも少なくない。ラフに入れてしまうと、強いアップダウンがあるため、距離感を出すのがかなり難しくなる。

トーナメントの鍵になりそうなホールを紹介しよう。

まずは2番ホール。

画像: 2番パー4は打ち上げで富士山に向かうホールのため手前からは順目グリーンのグリーンになる

2番パー4は打ち上げで富士山に向かうホールのため手前からは順目グリーンのグリーンになる

左にドッグレッグするパー4で、セカンドはかなり打ち上げになり距離感が難しい。セカンドショットに高さが要求されるため、飛距離があまり出ない選手にとっては不利になる。意外とボギーが出やすいホールだ。

8番ホール。
2011年有村智恵のアルバトロスの舞台になったホールだ。距離が短いパー5で、どの選手もバーディを奪いたいところではある。しかし、罠もあって、ひとつはティショットの落とし所が狭いこと。谷がある右方向は絶対にNGだが、右のフェアウェイバンカーを意識しすぎると、左ラフにボールがいきやすく、左下がりから打ち上げのセカンドをラフから打つショットが要求される。また左にいき過ぎると、前の木がスタイミーになる。

画像: 2オン可能な8番パー5はグリーン周りをバンカーが囲み2オンを妨げる

2オン可能な8番パー5はグリーン周りをバンカーが囲み2オンを妨げる

もうひとつの罠は、数年前に改修を行い、グリーン周りが深いバンカーに囲まれていることだ。グリーンは受けているが、富士山からの傾斜で奥に速く、有村がアルバトロスを達成した時代より、2オンの難度はぐっと上がっている。2日目には、笹生優花が残り180ヤードを6番アイアンで乗せてイーグルを奪った。笹生のようなドライバー飛距離とアイアンショットの高さと飛距離があってこそ可能なスーパーイーグルだった。

バーディを奪っている選手たちはアプローチをしっかり寄せたり、バンカーからナイスアウトしたりするケースも多く、むやみに2オンを狙っていない。3打目をどこから打つかがポイントだ。

9番ホールはセカンド地点から下るパー4。

430yと長めで距離を稼ぎたいところだが、アゴの高い右のフェアウェイバンカーに入ると1打以上費やすことになりそう。フェアウェイ幅が14ヤードしかなく、プレッシャーのかかるティショットになる。

画像: ティショットの置き場所がタイトでグリーンは奥に向かって下りの順目でピン位置によって難易度が上がる

ティショットの置き場所がタイトでグリーンは奥に向かって下りの順目でピン位置によって難易度が上がる

グリーンの傾斜もきつく、富士山からの芝目も相まって複雑な切れ方をする。富士山からの傾斜で奥に向かって下っているため、ピン位置によってはかなり難度が高い、そのため予選2日間でバーディーを取った選手にバーディ賞がかけられている(※今年はささきしょうこが獲得)。
ボギー以上が出やすい難ホールのひとつだ。

長いパー3の10番も難しく、この8、9、10番をイーブンパー以上で乗り切ることが、優勝争いに大きく影響するだろう。2日目の実測距離は187ヤード。

画像: 2日目は実測187ヤードとなった10番パー3はボギーの出やすいホール

2日目は実測187ヤードとなった10番パー3はボギーの出やすいホール

上がりの2ホール、17番と18番も厄介だ。

17番は9番同様、右のフェアウェイバンカーの存在感があるホール。バンカーの左に落とせれば、ボールがコロコロ転がって短い番手で打つことが出来る。しかし、バンカーに入れたり、左の谷に転がってしまってはトラブルショットは避けられない。

画像: 左が18番へと続く崖、右にバンカーがありタイトな17番ホール

左が18番へと続く崖、右にバンカーがありタイトな17番ホール

先週、日本女子オープンを制した原英莉花も縦距離が合わせづらいパー3の16番とともに、左は崖で右はバンカーが待つ17番をキーホールにあげていた。

18番ホールは長いパー5。セカンド地点から大きく打ち上げており、2打でグリーンの近くまで運ぶのは、ほとんどの選手にとってほぼ不可能だ。とはいえ、ナイスショットを2つ重ねれば短い3打目を打つことが出来る。パーは難しくないホールだ。しかし、優勝争いではバーディが必要になる。強い打ち上げのライから、コントロールショットで距離をしっかりと合わせることが求められる。

画像: 最終18番パー5はティショットは打ち下ろし、グリーンに向かって打ち上げる3打目の精度が勝負を分ける

最終18番パー5はティショットは打ち下ろし、グリーンに向かって打ち上げる3打目の精度が勝負を分ける

18ホール通して、フェアウェイキープは大きなポイントだが、狭いホールが多いため、すべてをフェアウェイに運ぶのは、至難の業だろう。アップダウンが強く、グリーンを狙うショットの距離感も難しいので、パッティングとアプローチの技術がより求められるコースと言える。

画像: 最終日の18番を首位で上がってくるのは誰か?

最終日の18番を首位で上がってくるのは誰か?

一方、飛ばし屋が有利なホールは、打ち上げのパー5である3番と11番くらいで、気持ちよくブンブン飛ばせるところが案外少ない。飛距離よりもボールの置きどころがしっかりと計算できるゲーム巧者の選手が有利になるはずだ。

写真/コヤマカズヒロ

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