番手ごとに一定のキャリーを打ち分けられることが大切だ
クラブフィッター小倉です。今回はゴルフを始めたばかりの方からのご質問が題材です。先日、お客様よりこんな質問を受けました。「7番アイアンでどのくらい飛ぶのが正解なのですか?」と。確かに使用しているクラブで、どのくらいの飛距離が出ていれば良いのか、気になるところでしょう。
特に初心者のころは、自分が正しいスウィングをしているか、自身のパワーに対して適正な飛距離が出ているかの判断が難しいので、気になるのはとてもよくわかります。その方には、初心者のうちは、スウィングスキルが身についていないため、あまり飛距離は気にしないほうが良いとお伝えし、使用しているクラブと、体格、そしてスウィングを見させていただいたうえで、上達していったときに自然と飛ぶ距離、そして目指すべき距離をお伝えしておきました。
個人的にアイアンの飛距離は、番手ごとの一定の距離を打ち分けられれば、そこまで気にしなくてよいと思っています。最も気にすべき点は、長い番手のキャリーの差が出なくなること。アイアンはあくまでグリーンを狙うためのクラブ。キャリーの差が出なくなると、転がる距離によって距離が変わっても、グリーンをキャリーで狙えず、任意の場所にボールを止めることが難しくなります。
最新のアイアンは、ロフトの設定が昔より立ってきています。同じ番手でも飛距離が出るモデルが好まれるためですが、もちろん飛距離だけを追求しているわけではなく、狙う性能も考えて設計されています。しかしロフト角が立ったモデルは、どんなに高性能でもグリーンで止めるために必要な要素のひとつであるスピンが少なくなりがちです。
そのぶん高さで補うのですが、高さであれば、UTやショートウッドのほうがはるかに性能は高いです。無理にアイアンの飛距離にこだわるよりは、しっかりグリーンで止められるアイアンを使用し、距離の欲しい番手のキャリーが出なくなったところからUTやFWを使うというのがアマチュアにとって楽にプレーできるひとつの方法かなと思います。
最初の質問に具体的な例を加えて、自分なりに答えを出すとすると「ヘッドスピード40m/sぐらいであれば、アイアンのロフト設定や性能にもよりますが、7番で130ヤード飛べばOK」です。このくらいの飛距離があれば、番手間の距離差は作れるはず。あとは前述したとおり、キャリーの差が小さくなった番手のところからUTやFWを使用といった感じです。
アイアンの飛距離は、モデルの個々の性能や打ち手のパワーによって大きく変わります。7番で200ヤード飛んだ!というのもゴルフの楽しみ方のひとつですが、スコアメイクを重視するなら、飛距離に対するこだわりは捨てたほうがよい結果につながりやすいと私は思います。