櫻井のさらなる活躍は終盤戦の注目ポイント
最終日は予報通りの強い雨。午前7時の段階で競技開始を2時間遅らせて、午前10時とすること、セカンドカットを採用し、選手を52人(予選通過者)から38人に絞ることが発表された。
雨が降り続くなか、10時に第1組がスタートしたものの、32分後にプレーは中断。午前10時54分に中止が決まり、競技は36ホールに短縮された。
最終日をプレーせずに優勝となった櫻井だが、心は揺れ動いた様子。
「前日までに予報を見て、(最終日は)なさそうだなという感じだったんですけど、朝見たらあるかもなと思いました。もっと雨が降ってほしいという気持ちもあったし、3日間やって勝ったほうが気持ちいいし、いろんな気持ちがありました」
結果的には2日目の最終18番パー4で、
「ほぼ真っすぐのフックラインでカップの右ふちを狙って打ちました」
という7メートルのバーディパットがウイニングパットとなった。
史上3人目の10代での4勝については
「3勝目の時も同じことを聞かれたので、同じ気持ちです(笑)」
残り6試合には米女子ツアーでもある「TOTOジャパンクラシック」、最終戦でメジャーの「JLPGAツアーチャンピオンシップ リコーカップ」が含まれており
「もっと調子を上げて、そこで優勝できるように頑張りたいです」
と目標を掲げた。
櫻井が10代でツアーに出場できるのも残り6試合。
目標通りに次の1勝を挙げれば、宮里藍が2004年に10代で挙げた年間5勝に並び、2勝を挙げれば10代の年間最多勝記録を更新する。
櫻井のさらなる活躍は、終盤戦の注目ポイントのひとつだろう。
2日目に1打差の2位タイで終わった岩井千怜と阿部未悠
櫻井とは対照的に中止で悔しい思いをしたのは1打差の2位タイで終わった2人。
2日目の最終18番は岩井千怜がボギー。
阿部未悠も「いい位置につけられた」という6メートルのバーディパットを外していた。
「他にも3パットのボギーがあったし、原因はひとつではないと思います」
という岩井の言葉も、
「18番は取りたかったなという気持ちがすごく強いです」
という阿部の言葉も、どちらも本音だろう。
岩井は今季2勝を挙げているものの、後半戦はなかなか優勝争いに絡めていなかっただけに、今大会を再浮上のきっかけにしたいところ。
次は申ジエや山下美夢有との優勝争いで、年間女王を争う双子の姉・明愛をアシストする展開になるのか、あるいは明愛との姉妹対決となるのか。
本人は意識していなくても、岩井千怜の活躍が終盤戦をよりドラマチックに盛り上げるのは間違いない。
一方の阿部は古江彩佳、西村優菜、吉田優利と3人のツアー優勝者を輩出しているプラチナ世代(2000年度生まれ)の一人。
先週の「スタンレーレディス」では安田祐香が優勝争いを演じ、2打及ばずの単独2位。今週は阿部が初優勝にあと一歩まで迫った。
今季トップ10入りが4度ある後藤未有も含めて、いつ誰が4人目となるのかも、残り試合で注目されるポイント。
年間女王争いはもちろんだが、国内女子ツアーは終盤戦も見どころたっぷりだ。
イ・ボミは今週、日本のツアーと”お別れ”
また、次戦の「NOBUTA GROUPマスターズGCレディース」(10月19~22日)はイ・ボミの日本での最終戦となる。
今大会を含め、今季は7試合に出場してすべて予選落ちと、2年連続賞金女王に輝いた当時のプレーは影を潜めているが
「絶対に決勝ラウンドでいいゴルフが見せたいです」
と意気込みは十分。
外国人選手としては異例ともいえるほど、日本で愛された選手だけに、本人にとっても、ファンにとっても、いい思い出となるエンディングを期待したい。
PHOTO/Shinji Osawa