プロゴルファーやジュニアゴルファーをはじめさまざまなスポーツ選手のメンタルアドバイザーを務める丹波幸一氏。元プロ野球の審判という異色の経歴を持つティーチングプロ、丹波氏がゴルファーに役立つ”心の操作法“を連載形式で語っていく。第2回のテーマは「潜在意識をコントロール」だ。
画像: 練習場では「開眼した!」と思っても、なぜラウンドではそれが再現できない?(写真はイメージ)

練習場では「開眼した!」と思っても、なぜラウンドではそれが再現できない?(写真はイメージ)

ゴルファーの思考 ラウンド中の約80%はネガティブ思考です

なぜミスショットをしてしまうのでしょうか? 練習では打てるショットが、ラウンドでは上手くいかない! 昨日の練習では完璧だったのに! ゴルファーなら誰でも経験していることです。これは上手い下手に関係なく、起こり得る現象です。 

必死に練習してつかんだスウィングやショットを、本番でも練習通りに再現したいのは、すべてのゴルファーの願望ですが、それが実現できないのは、ゴルフの9割はメンタルが影響することが原因でもあります。 

以下の2例を想像してみてください。

A  練習場の150ヤード先のグリーンに目掛けて、あなたは何番アイアンを握りますか? そして練習ではピンだけを向いて狙っていませんか? 

B  実際のラウンドで150ヤード先のグリーンの手前は深いバンカー、左サイドは浅くO Bラインが見えます。右サイドも手強そうなバンカーがあります。そしてピン位置は手前の厳しい位置に切られています。しかも風はアゲンストで、グリーンは奥から速くなっています。こんな状況ではあなたは何番アイアンを握るでしょうか?

この2例では明らかに“心の状態”が変わってきます。人間の意識には2種類あります。Aの状況は「顕在意識」、Bの状況は「潜在意識」が大きく影響してきます。 

顕在意識とは普段考えている思考です。顕在意識は普段の意識の10%程度しかありません。もう一つが潜在意識、これは行動や考え方に影響を与える心の領域で、普段の意識の90%以上は潜在意識が無意識に働きます。

実際のラウンドではこのBの“心の状態”をどうコントロールするのか? 潜在意識をどうコントロールするのかでパフォーマンスに大きな影響が出ます。

なぜミスショットをしてしまうのか? 

集中していることが前提になりますが、ミスにはメカニズムがあります。

1 極度の緊張感
2 ミスを恐れる恐怖心

多少の緊張感はあるほうがパフォーマンスには良いことです。しかし足が震えるようなスタートホールでの緊張はパフォーマンスに悪影響を与えてしまいます。そしてゴルフにとって厄介なのが2のミスを恐れる恐怖心です。これをどうコントロールするのかが、ゴルフメンタルのすべてと言っても過言ではないくらい重要なことです。

Bの例の"心の状態"、潜在意識には、手前のバンカーは嫌だ! 左のOBラインは浅いから引っ掛けたくない! 右のグリーンもボギーの可能性がある! 奥にはつけたくないけど、アゲンストの風があるから大きな番手を持たなくては風の影響を受けてしまう! など、沢山の状況判断のなかで潜在意識に描いていることは、ほとんどがネガティブ思考ではないでしょうか?

潜在意識はあらゆる記憶の貯蔵庫でもあります。過去の失敗や嫌な経験など記憶が蓄積されています。心に不安があると、潜在意識はその描いた不安を再現させようと働きます。

心の仕組みとは、”すべての行動パターンは潜在意識に描いた通りに反映される!”ということです。
よってBの状況では、ミスを恐れる恐怖心や不安を潜在意識に描きながらストロークするため、潜在意識に描いたネガティブ思考が結果として実際のストロークに反映されてしまいます。

これらマイナスイメージを潜在意識に描いた時点で、それが結果に導かれるという厄介なシステムです。

ではこの潜在意識の仕組みをどう利用すべきなのでしょうか?

ゴルファーの思考というのは、何も知らないと80%のネガティブ思考に引っ張られながらゴルフをしていることになります。

あなたはプレショットルーティーンで、どういうボールを打ちたいのか? どうしたいのか?を鮮明に描けていますか?
 
ほとんどのゴルファーの思考は、OBは避けたいなあ! 引っ掛けたくないなあ! あの池に入れたくない! 前回もあのバンカーにつかまったからなあ! ダフリそうなライ!など、すべて自らミスを導いています。 

このようなネガティブワードを潜在意識に描いた時点で、ミスは確定してしまいます。潜在意識を理解した上で、ここからは実際にどう“心の状態”をコントロールしていくのかをお伝えします。 

ボールを打つ前のプレショットルーティーンで、自分が打ちたい球筋、弾道、球の強さ、高さなど、空中に線を描くように鮮明にイメージします。

もし不安がよぎっても、必ずそのネガティブ要素を成功のイメージに書き換えなくてはなりません。 ネガティブ思考を完全に消す作業が必要になります。潜在意識に描いた通りに反映しやすい心の仕組みを最大限に活かすために、成功のイメージを鮮明に描くことが習慣になるのが理想です。
 
普段のラウンド中の発言や思考を振り返ってみてください。どれだけ不安を抱えながらショットを繰り返してきましたか? 成功のイメージを鮮明に描いてすべてのショットを打ってきましたか? 練習でもラウンドと同じように成功のイメージを鮮明に描いて1球1球打ててますか?

成功のイメージが描けていないゴルフでは、行き当たりばったりのゴルフとなり、結果はどちらにも転びます。打った結果、打った結果でゴルフをつないでいくと、ミスの幅が大きくなります。しかし先に潜在意識に成功のイメージを鮮明に描くゴルフをつないでいくと、失敗してもミスの幅はより小さくなります。

天才は成功のイメージを鮮明に描く! 凡人は失敗のイメージを鮮明に描く! あなたはどちらを選びますか?

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