「みんな私を見ているんだ」(菅沼)
最大のピンチは序盤で訪れた。
菅沼と同じく首位タイでスタートした尾関彩美悠が1番でバーディを奪い、1打差を追う形で迎えた2番パー4、菅沼のティーショットは右サイドの深いラフにつかまった。
「チョロしそうだなというラフで、ほんとにチョロしました」
3打目も右サイドのラフから残り84ヤード。これを2メートルに寄せるとパーをセーブした。
対する尾関は3パットのボギー。差が広がりそうな展開だったが、結果的には再び首位に並んだ。
その後は4、9、12番とバーディを重ねた菅沼が徐々にリードを広げていく。
「17番が難しいので、17番が終わって少し楽になった感じでした」
最終日の最難関ホールだった17番パー3はこの日唯一のボギーとしたものの、最終ホールを前にリードは2打。少しだけ余裕を持って臨んだ18番では
「2打目を打つ時にみんな私を見ているんだなと思いました。ギャラリーさんが多くて嬉しかったです」
自称アイドルのオンステージ。最後は1.2メートルのパーパットを沈めて、両手を高く上げた。
"スマイル・キャンディ"の後継者に名乗り
プレーを見守ったイ・ボミから、ギャラリーよりも大きな声で「おめでとう」と祝福された菅沼は、
「ボミさんの引退試合という機会に優勝できて嬉しい。引退された後もJLPGAを盛り上げられるように頑張りたいです」
今大会中には「おこがましい」と話したこともあったが、優勝会見では"スマイル・キャンディ"(ボミの愛称)の後継者に自ら名乗りを上げた。
2か月前の初優勝時、菅沼は
「アイドルになり切ってプレーしました。アイドルなので怒りません」
と話した。一方、ボミの印象を問われると
「高校生ぐらいのときにテレビで見て、すごい笑顔で一際目立ってかわいいって感じで、怒らないし、プレースタイルが素敵だなと思って憧れていました」
ゴルフにはミスも、アンラッキーも付き物だが、そんな時でも怒らず、笑顔を絶やさない。これが2人の共通点だ。
昨季は何度も優勝争いに絡みながらあと一歩及ばなかったが、1つ勝ったことで
「周りを見てゴルフをしなくなったのが一番の成長だと思います。自分が伸ばしていけば優勝できると分かったので、今日はあまり周りを気にせずにプレーすることが出来ました」
今回の2勝目はさらなる自信に繋がったはず。今後は成績でもボミに迫るべく、3勝、4勝と、勝利を積み重ねていく。