2シーズン目の今年、年間チャンピオンに輝いたテーラー・グーチはボーナスも含め13試合でおよそ50億円を稼ぎ出した。金銭的な面では相変わらず景気が良い。
しかし10月はじめLIVが再度世界ゴルフランキングのポイント付与するようOWGR(公式世界ランキング)に要望を送ると、OWGRの理事会は満場一致で却下。48名という限られたフィールド、54ホールという試合形式はポイントランク付与に相当しないという結論に至っている。
世界ランクトップ50に入ればすべてのメジャーへの出場が可能だがLIV勢がその枠に入るのは困難。たとえばダスティン・ジョンソンは移籍した時期の同ランク13位だったが現在は131位。全米オープンに勝っているブライソン・デシャンボーは29位から140位へ急降下。しかし彼らはメジャー歴代優勝者のカテゴリーで来年も出場することができる。
キャリアのピークを迎え世界ランク2位で昨年末移籍したキャメロン・スミスは現在19位。こちらも全英オープンに勝っているので問題はない。しかし年間チャンピオンのグーチは35位から214位にランクダウンしており、いくら頑張っても来季メジャーの舞台でその姿を見ることはない。
もちろん枠組み合意で何らかの進展があれば状況は変わるかもしれないが。
この件に対しマスターズを主宰するオーガスタナショナルのチェアマン、フレッド・リドレー氏は「彼らはゴルフキャリアにおいて自分たちがもっとも価値を置くべきものを優先して進路を選んだ」と持論を展開。つまりLIV勢はメジャーの名誉よりも金銭的な事情を優先したというわけだ。
LIVでプレーするハロルド・バーナーⅢは「我々は招かれざる存在。金のために(LIVを)選んだと思われているから」と本音をポロリ。いっぽうデシャンボーは「LIVのトップ15にはメジャーの出場権を与えるべき」と主張している。
スタートから2年経ったいま「我々はすべてにおいて最初の頃と同じように情熱を持って戦っている」というベテランのイアン・ポールターの言葉がやや虚しく聞こえるのは、ギャラリーの集客がうまくいっていないこと、テレビ視聴率が悲しくなるほど低いこと。またエキジビション的な試合が果たしてトッププレーヤーたちの心を満たしているのかという疑問まで浮かぶ。
枠組み合意が座礁に乗り上げているのでは? という声が聞こえるなか、LIV勢はどんなオフを過ごすのだろうか。リッチな彼らゆえ懐が暖かいことだけは確かだ。