国内ツアーから引退したイ・ボミを敬愛するリ・ハナ選手が初優勝を飾りました。山下美夢有、仁井優花選手とのプレーオフでも落ち着いたプレーを見せたハナ選手は、短いバーディパットを決めガッツポーズ。そのハナ選手よりも先に涙を流したキャディを務める丹野啓介君の姿も印象的なフィナーレでした。
ハナ選手と丹野キャディは、これまで幾つかの改善に取り組んでいました。その一つは、ピンばかりを狙ってしまうマネジメントを改善し、いわゆるゼロライン(フラットか上りの真っすぐのライン)を残すマネジメントと、その位置を狙えるインポジションにボールを置くことを実践してきていました。
そしてもう一つは、プレーのペース。スロープレーでイエローカードをもらうことも多かったハナ選手でしたが、ここ数試合はプレーのペースも改善してきたことで良い流れを継続できたり、悪い流れを断ち切る切り替えができるようになってきたといいます。丹野キャディに今週のポイントを聞きました。
「今週トレーナーさんを練習日に来てもらって体が整ったことでショットが良かったこと、グリーンが硬く速いので奥よりは手前に置いてアプローチでもOKというマネジメントが上手くできたこと、プレーのペースも2日目に同組だった苙りつ子さんに褒められたくらい改善できていました」(丹野啓介キャディ)
それと2週前にUSTマミヤ「リンク ブルーEX」の5Sを46インチで組み上げ飛距離が15ヤードくらい伸びていたといいますし、ボールも2週前にタイトリスト「プロV1X」にチェンジしていました。シード権を確定させていたことで、来季を見据えてのクラブやボールのチェンジをしたことがまさにハマったようです。
では、プレーオフでもしっかり振れていたドライバーのスウィングを見てみましょう。オーソドックスなスクェアグリップよりも、やや左手の甲がターゲットを向いたグリップで握りスタンスは広め。テークバックでヘッドをインサイドに上げないように始動していきます。
早い段階で背中をターゲットに向け、腕と胸のターンが同調していることで、トップからの切り返しでは腰(骨盤)の回転量と肩のラインの捻転差が最大になり、しっかりと体幹がねじられていることが見て取れます。
切り返しで左ひざをアドレスに位置に戻すようにダウンスウィングに入ることで、両ひざの間隔は広くなりますが、こうすることで右サイドが前に出ずに腹筋にしっかりと力が入り、力強く振ることができています。
「今年の冬にトレーニングして、来年の開幕まで平均で10 メートルは飛ぶようにしたいと思います」と将来の米ツアー参戦に向けて更なる飛距離アップにも取り組むと優勝会見では話ました。イ・ボミ選手が国内ツアーを引退したタイミングで新たに誕生した韓国ヒロインに今後も注目していきましょう。
写真/姉崎正