原英莉花、西郷真央、吉田優利をはじめ他の多くの選手にとっても優勝すればLPGA(米女子ツアー)参戦の切符が手に入る「TOTOジャパンクラシック」。渋野日向子、勝みなみ選手にとってはシード権争いも佳境に入り、少しでも上位フィニッシュしたいところです。
その「TOTOジャパンクラシック」の練習日に現れたのはクラブメーカーピン社のデザイナーを務めるトニー・セラノ氏。一本一本完全削り出しの「PLD」(パッティング・ラボ・デザイン)シリーズを率いるセラノ氏に話しを聞きました。
「ラプチャー」や「レッドウッド」など往年の名器の開発にも携わり35年のキャリアを重ねたセラノ氏ですが、「PLD」はこれまでのキャリアの中でも最も印象に残る仕事だと話します。
ピンのパターといえばそのピン型の代名詞にもなっている「アンサー」シリーズ(ブレードタイプ)が有名ですが、「PLD」シリーズではピン型からミッドマレット、マレット、ツノ型など多くのラインナップを揃えています。実際にピンのパターを使用する選手でもソール幅の少し広いピン型を使う渋野日向子選手や、センターシャフトのモデルを使用する鈴木愛選手など選手よって選ぶモデルは千差万別。
そこで自分にとってマッチするパターをどうやって選んだらいいのか?と聞いてみました。
「まずは視覚的に見てラインに対してスクェアに構えられるかどうかが大切です。シャープなラインが特徴のブレードタイプが構えやすければブレードタイプを、安心感があって構えやすければマレットタイプを選びましょう」(トニー・セラノ氏、以下同)
まずはターゲットに対して構えやすく感じる「視覚的要素」が大切だとセラノ氏。ブレードタイプ、ミッドマレット、マレットと代表的な3モデルを構えてみて、自分にとってターゲットに対して構えやすいパターの形状を選んでみましょう。
その次に、ターゲットより右に外すことが多いか、左に外すことが多いかのミスの傾向をチェックします。
「右に外すことが多ければフェースバランス(手に持ったときにフェースが上を向く)モデルがマッチするでしょう。左へ外すことが多ければL字やショートスラントネックのモデルがマッチするはずです」
ネック形状によって手で支えたときのフェースの向き、重心アングルは変わってきます。重心アングルの違いはフェースの開閉の度合いと比例していて、ブレードタイプのクランクネックを中間とすると、ベントネックのマレットはフェースが上を向き開閉は少なく、L字やスラントネックは地面と垂直に近い角度のモデルは開閉度合いは大きくなります。
マレットタイプの中でも大型のものや中間サイズのミッドマレット、ブレードタイプでもソール幅が広いモデルなど様々なモデルがありますが、選ぶ基準として視覚的要素で形を選びミスの傾向からネック形状を選ぶことで自分にマッチしたモデルを選べると教えてくれました。
もう一つ、削り出しのパターで特徴にもなるフェースのミーリングについて聞いてみると
「ミーリングは打感、打音などフィードバックに違いが生まれます。硬い打感が好きならミーリングは浅いもの、柔らかい打感が好きであれば深いミーリングをお勧めします」
使用するボールの硬さによる影響もありますが、打感や打音といったフィーリングに関わる大事なミーリングの深さによる違いも教えてくれました。
「TOTOジャパンクラシック」に出場する選手がどんなタイプのモデルを使用しているか。チェックしながら観戦したり視聴してみると、また違った視点で見ることができそうです。