プロゴルファーやジュニアゴルファーをはじめさまざまなスポーツ選手のメンタルアドバイザーを務める丹波幸一氏。元プロ野球の審判という異色の経歴を持つティーチングプロ、丹波氏がゴルファーに役立つ”心の操作法“を連載形式で語っていく。第5回のテーマは「気持ちを切り替えるための"心呼吸”」だ。
画像: 感情の切り替えが容易になる"心の呼吸”とは?(写真はイメージ)

感情の切り替えが容易になる"心の呼吸”とは?(写真はイメージ)

一点集中と"心の呼吸"を意識、実践したい

ラウンド中に落ち着きを取り戻そうとしたり、ミスの切り替えのために深呼吸を取り入れる方も多いと思います。しかしなかなか気持ちが切り替わらないのはどうしてでしょうか?

もちろん潜在意識の書き換えができてないケースも考えられますが、ある程度心を操作しているつもりでも、なかなか結果や成果が伴わない人もいます。

緊張した場面や腹が立つ場面では、若干呼吸が浅くなり、速くなります。感情と呼吸は密接に関わっていて、正しい呼吸方法をすることで最高のパフォーマンスを演出してくれます。

今回は心の呼吸、"心呼吸”を紹介します。メンタルでは、この“心の呼吸”を取り入れると、気持ちの切り替えのオンオフがしやすくなります。

・自己暗示するためのスイッチ

・切り替えのスイッチ

・トップギアへのスイッチ

まずはその心呼吸についてやり方をお伝えします。皆さんも一度やってみてください。

1  姿勢を正しながら丹田を意識し、少し力を入れます。

2  胸を膨らますように、鼻からゆっくり大きく息を吸います。

3  途中で息を止めて7秒間目を瞑り、脳全体に酸素が行き渡るようにイメージします。

4  目を開けて口を尖らせながら、息をゆっくり口から吐き切ります。

2、3回繰り返してやってください。いかがでしょうか? これが心呼吸のやり方です。今日からわざとでいいので、習慣になるまでやり続けてください。寝る前には3回から5回は心呼吸を繰り返して、心を落ち着かせてください。

歩いていて信号機で立ち止まった時にも、赤い信号機を見ながら一点集中して心呼吸をしてみてください!

私が現役でプロ野球審判をしていたときの一例も紹介させていただきます。たとえば甲子園球場で一塁を担当してきたときには、必ずECCの赤い広告を正面に見つけ、試合前に一点集中でその広告を見ながら心呼吸をしていました。(覚悟を決めて試合に臨むという自己暗示のスイッチ)。

一回の表裏が終了してからも、またECCの広告を見つめながら心呼吸を繰り返します。何かトラブルがあったり、ミスして野次られたりした後にも必ずECCの看板を見て一点集中し、心呼吸して切り替えのスイッチを入れていました。(切り替えのためのスイッチ)。

序盤の3イニング、中盤の3イニング、終盤の3イニングと区切り、意識して心呼吸してました。(トップギアへのスイッチ)

これらのように自分で色々なルールを作って、一点集中と心呼吸を導入することで、抜群に感情の切り替えが容易になります。

 

"心呼吸”を普段の生活から習慣化

失敗したり、ミスが続いた時など、"よし、ここから切り替えよう!"などと自分自身に言い聞かせる姿をよく見かけますが、なかなか切り替えることができなかったり、ミスを引きずってしまっていたりしますよね。

これはまず潜在意識の書き換えができていないことが原因です。自分では切り替えているつもりでも、潜在意識という無意識の領域が邪魔をしているのです。

実際には切り替えているフリをしているだけなので、またミスや負の連鎖が続いてしまい、脱却できない現象に陥ります。

こんなときこそ一点集中と心呼吸のセットでスイッチを入れてみてください。 

ゴルフコースはスタジアムと違って景色が変わるので、何かを触りながらか心呼吸してください。私はグリップがIOMICなので、IOMICのOのロゴを触りながら心呼吸しています。

またキャップのツバの裏に自分自身へのメッセージを書いているので、キャップのツバを触りながら心呼吸を取り入れてます。

心呼吸に関しては、普段の生活から癖のように習慣化していく必要があります。本番だけ真似ようとしても、なかなかスイッチは入りません。儀式、ルーティーンのように是非ゴルフの一部にメンタルの呼吸法を取り入れてください。

3ホールずつ区切って考えることが大切

トップギアへのスイッチをもう少し深く説明します。野球でもゴルフでも上がり3イニング、上がり3ホールは本当に大切です。野球では先発投手から引き継いだセットアッパー、抑えのリリーフの出来次第で試合が左右されます。

ゴルフでも同じように上がり3ホールでの詰めとゲームコントロールを考えると、トップギアに入れる必要があるため、心呼吸でスイッチを入れ自分自身を鼓舞しなければなりません。

普段のプライベートのラウンドの時から、3ホールで区切り、上がり3ホールのトップギアへのスイッチは必ず実行するようにしてください。 練習でも試していないことは本番では通用しません。

他にも3ホールずつ区切るメリットはあります。3ホールずつ区切ることで、最初の3ホールが悪くても切り替えが可能になり、次からまた新たな3ホールを迎えることができます。しかし3ホール区切りしていないプレイヤーは、序盤につまずくとその日が台無しになるプレイヤーもいます。かなりもったいないですよね!

私が担当しているツアープロは、パー5を含む3ホール区切りの累計スコアを1アンダーに設定しています。こうすることで試合のペース配分、試合運び、粘りが生まれてきます。 

呼吸の乱れは"自らの心"の乱れ

息が長い、息が通う、息が弾む、息苦しい、息切れ、息が詰まる、息抜き、息を呑む、息を殺す、息をひそめる、息を吹き返すなど、ゴルフでは良いも悪いも“息”という漢字が含まれます。

息とは“自らの心”。つまり心の呼吸はゴルフでも大切で、呼吸の乱れは“自らの心”の乱れと思ってください。

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