プロゴルファーやジュニアゴルファーをはじめさまざまなスポーツ選手のメンタルアドバイザーを務める丹波幸一氏。元プロ野球の審判という異色の経歴を持つティーチングプロ、丹波氏がゴルファーに役立つ”心の操作法“を連載形式で語っていく。第4回のテーマは「成功イメージを描くための"心の体力”」だ。
画像: 練習での1球1球のイメージ力の積み重ねで「心の体力」が養われるという(Photo/Getty Images)

練習での1球1球のイメージ力の積み重ねで「心の体力」が養われるという(Photo/Getty Images)

成功イメージには「心の体力」が大切

前回はプレショットルーティーンで成功のイメージを鮮明に描き、実際に放つショットは成功のイメージのリプレイであることを紹介しました。 実際に行動に移されてみていかがですか?

ラウンドや試合だけでやろうとしても、なかなか上手くいきません。練習の段階から試合の1ストロークのように、イメージ力を磨く練習が必要になります。練習で当たり前のように習慣化されてこそ、試合でも自分が磨いてきた技術、持ち合わせている潜在能力が遺憾無く発揮できるようになります。

すべてのショットにおいて事前に成功のイメージが鮮明に描けていることが理想ですが、世界のトップレベルでも50%も描けないくらい「心の体力」が課題になります。

実際にはロングゲームではショートゲームほどのイメージが描けてないプレイヤーが多いです。アプローチやパッティングのように、ロングゲームでもより鮮明なイメージが欲しいです。

ドライバーなどのパワーゲームでは、打った結果だけをつないでゴルフをしてしまっている人が多いのではないでしょうか?

パワーゲームでの左右のブレ幅ですが、打った結果だけの場合と鮮明にイメージして放った場合とではかなり差が出ます。力任せで、イメージが薄いショットのブレ幅は、OBゾーンにも達するようなブレになりますが、しっかり成功のイメージを描けたストロークは、失敗しても最小限のミスの幅に収まります。

普段の練習の1球からすべてのショットで成功のイメージが鮮明に描けていますか? 何球も番手を変えず、調子が出るまでひたすら打ち続けていませんか? だんだん調子がつかめてきたりする感触は、本番では存在せずまったく通用しません。本番では、1球前のミスの感覚はないまま打たなくてはなりません。ゴルフにはもう1回のやり直しはありません。練習の段階から、どういうボールを打ちたいのか、どのような初速、打ち出し角、スピン量、弾道、頂点、アタックアングル、クラブパス、フェースアングルまでも先にイメージすることを意識づけてください。

練習での1球1球のイメージ力の積み重ねで心の体力は養われます。ぜひ心の筋トレも取り入れてみてください。

 

"負けのサイン"は無意識に出てしまう

他にも心の体力差は現れます。

・怒りをあらわにする
・不貞腐れる
・道具にあたる
・下を向く

これらの行為というのは、自ら出してしまう負けのサインとも言えます。よく海外選手を見ていると、怒りをあらわにしている態度をよく見かけます。決して誉められるような行為ではありませんが、海外では一瞬態度や言葉に出してスッキルするようなアンガーマネージメントは認知されています。PGAの選手などは1ヤード進むと怒りや後悔を断ち切って、過去を振り返らないというのが国際的に多いアンガーマネージメントです。

しかしこのアンガーマネージメントでは、吹っ切れたつもりでも実は潜在意識にこれらの行動自体が蓄積されてしまいます。潜在意識の仕組みを思い出してください。 潜在意識はあらゆる記憶の貯蔵庫です。怒りをあらわにする行為や、言葉で暴言を発するようなことは、無意識のうちに潜在意識に蓄積され、また次にそのような行動を取ってしまうミスが確約されるという意味です。

不貞腐れるという行為もファンにとっても不愉快なことです。同伴競技者との空気も悪くなりますし、自らネガティブに足を踏み入れるような行為になります。同じように潜在意識には蓄積され、また次のミスを自らが招くことになります。

プロならお金を稼ぐ道具、アマチュアでもいいスコアを出してくれる道具を粗末に扱って何かプラスになるでしょうか? 寿司職人にとって包丁は命。毎日包丁を研いで手入れも一切怠らないでしょう。果たしてゴルファーの場合はどうでしょうか? 毎回ラウンド後、練習後にグリップを拭いたり、クラブヘッドの手入れをしてますか? スパイクはエアーシューズクリーナーを使って芝や泥を吹き飛ばすだけですか? 毎回インソールを拭いたり乾かしたりして手入れをされていますか?

車のトランクに入れっぱなしなんて論外です。道具への感謝、愛着があれば、自然にどう扱うかは見えてきます。心の整理ができている人は、このようなことが習慣になっています。スパイクはゴルファーの心を表すと考えてください。

下を向く行為は、意識が過去の失敗に向かってしまいます。落ち込んだり、悔しがったりするときは逆に上を向いてください! 悔しがるなら上を向いて言葉を発してください。

これら例を挙げた行為もすべて心の体力差であり、すべての行為は自分の弱さをさらけ出すに過ぎません! 負けのサインは無意識のうちに出ています。 

込み上げてくる感情はコントロールできません。感情を抑えることもできません。打ち消すように我慢する必要もありません。 

しかし態度に出すかどうかは行動の問題で、自分でコントロールできる部分です。  

メンタルは即結果が出るケースもありますが、本当に強くなるには日常から根本的にコツコツと変えていくことが大切です。 

気持の込もった挨拶、発言、感謝、掃除、整理整頓、道具の手入れ、ディボット、ピッチマークの修復、ゴミ拾いなど、当たり前の習慣にしていくことで心に余裕が生まれます。心に余裕が生まれると、集中力、判断力、決断力アップにもつながり、メンタル面を大きく支える基礎が構築されます。

何事もまずは行動してみること、そしてその行動が習慣化されるまで続けることが成果に繋がります。今やらないと、1年後は“あの時やっていればよかった!”という後悔になるくらい差が出ます。 習慣化されるには約30日必要とされます。人生のうちのたった30日で、当たり前のように習慣化してみましょう!

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