男子ゴルフツアーの「三井住友VISA太平洋クラブマスターズ2023」最終日が12日、静岡県の太平洋クラブ御殿場コースで行われ、首位から出た2018、19年賞金王・今平周吾が2バーディ、2ボギーのイーブンパー70でまとめ、通算12アンダーで逃げ切った。開幕戦の東建ホームメイトカップ以来の今季2勝目で通算9勝目。今平と一騎討ちを演じた25歳の吉田泰基が1打差の通算11アンダー2位。昨年優勝の石川遼は通算4アンダー9位にとどまった。
画像: 「三井住友VISA太平洋クラブマスターズ2023」でツアー通算9勝目を挙げた今平周吾(撮影/岡沢裕行)

「三井住友VISA太平洋クラブマスターズ2023」でツアー通算9勝目を挙げた今平周吾(撮影/岡沢裕行)

2位の吉田泰基と最終ホールまで一騎討ち

今平は最終18番で30センチのウィニングパットを沈めると、左手でキャップを取って、ギャラリーの拍手に応えた。

「やっぱりこの歴史ある大会で優勝できたことが本当に自信になりますし、すごくうれしいです」

晴々とした表情で喜びをかみしめた。

最終日は吉田とのデッドヒートの様相を呈し、最後はハラハラドキドキでVゴールへ飛び込んだ。

2打差のトップから出て前半で3打差に広げたが、17番パー3で第1打をグリーン左へ外し、アプローチでピンを4メートルオーバー。このホールをボギーとし、バーディを奪った吉田に1打差に迫られた。

それでも2度賞金王になった男は冷静だった。

迎えた18番は第1打を右のフェアウェイバンカーに打ち込んだが、第2打をPWで刻み、第3打でピン左5メートルに乗せた。吉田が6メートルのバーディパットを外したのを見届けると、落ち着いて2パットで収めて逃げ切った。

「18番は自分がバーディを決めれば優勝というのは分かっていたんですけど、先に吉田選手のパットが外れたのでほっとしたというか。上がりのホールは1パット、1パットで来たので、結構疲れました」

長さが違う2本の3Wで優勝を引き寄せた

画像: 「ヤマハRMX VD」の3Wでティーショットを放つ今平周吾(撮影/岡沢裕行)

「ヤマハRMX VD」の3Wでティーショットを放つ今平周吾(撮影/岡沢裕行)

今週はドライバーを入れず、3番ウッド(3W)を2本入れるユニークなクラブセッティングで臨んだ。

「水曜日のプロアマで、今週はドライバーが不調で右にしかいかなかったので、3Wに長さを足したらドライバーくらい飛ぶんじゃないかと思ってやったらいい感じになりました」

2本の3Wは長さが違い、飛距離も10〜15ヤード違うという。飛ぶ方は「ヤマハRMX VD」で、もう1本は「コブラLTDX」。

自身初めての試みだったが、これがビッグトーナメントでの優勝を引き寄せた。

「ドライバーって距離が出る分曲がるじゃないですか。18ホールで考えた時に、ティーショットがストレスを感じたりするんですよね。今週は3Wでフェアウェイキープできそうな気がしながらやっていたので、心に余裕があるというか、曲がっても幅の中に収まってくれる安心感をすごい感じました」

「賞金王も見えてきた」(今平)

メンタル面では首位でスタートしながら4位に終わった10月のACN選手権最終日の反省を生かした。

「あの時はちょっと悪かったことを受け入れられない自分がいたけど、今回は何があっても、どんな状況になっても受け入れようと思ってラウンドした結果、大ミスが出ないで済んだと思う」

今季は国内開幕戦を制したものの、その後は優勝できず

「今年は1ミリも(賞金王のチャンスは)ないなと思っていました」

それが、この優勝でビッグ賞金4000万円を積み上げ、賞金ランクは大会前の9位から3位に急浮上。トップの中島啓太とは約3448万円で、来週から続く今季残り3試合はすべて優勝賞金4000万円の高額大会だけに、逆転の可能性が出てきた。

「この優勝でまた賞金王も見えてきたので、この大会で勝てたことは大きいなと思います。あと3戦でもう1勝くらいはしたいなという気持ちはあります」

大逆転の4年ぶり3度目の賞金王へ、足がかりを築いた。

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