前夜の雨でフェアウェイもグリーンも軟らかく、スコアメイクしやすいコンディションだったのを差し引いても畑岡のプレーは凄かった。2番から3連続バーディを奪った後もショット、パットが噛み合う完璧な内容で9バーディを量産。9アンダー63をマークし中国のイン・ルオニンと首位の座を分け合った。
「スタートする前は100パーセントの状態じゃなかったのですが、凄く集中して頑張りました。特にアイアンの調子がとても良かった。パットも4、5メートルが入ってくれています」
舞台のティブロンGCは2年前、決勝ラウンドで64-64をマークし準優勝した相性の良いコース。しかし本人は「相性とか(下が軟らかい)コンディションとかではなく、集中した結果の63です」と胸を張った。
米ツアーデビューから7シーズン目。これまでに6勝を挙げているが昨年のDIOインプラントLAオープンが最後で今季は勝星がなかった。
日本のエースとして第一線を走ってきたが、ポイントランクで古江彩佳と笹生優花の後陣を拝した。なにより悔しかったのは夏場のメジャー、全米女子オープンとエビアン選手権で優勝争いしながら最終日に崩れて勝てなかったこと。それでも女子ゴルフ最高賞金の3億円大会で勝てば平凡なシーズンが特別なシーズンになる。
このタイミングでツアーは来年の今大会の賞金増額を発表。来年のツアー選手権の優勝賞金は3億円の倍の400万ドルすなわち6億円に跳ね上がる。
LPGAツアーの歴史のなかで年間400万ドル以上稼いだのは22年のリディア・コ(436万4403ドル)と07年のロレーナ・オチョア(436万4994ドル)の2人だけ。最終戦を残した賞金ランク1位のリリア・ヴはメジャー2勝を含む年間4勝で325万ドル(約4億8千万円)を稼いでいる。
来年のいまごろにはひょっとすると10億円プレーヤーが誕生するかもしれない。いやその前に今週、畑岡の健闘に期待したい。