女子ゴルフの今季国内ツアー第37戦、「大王製紙エリエールレディスオープン」最終日が19日、愛媛県のエリエールGC松山で行われ、2位から出た30歳の青木瀬令奈が5バーディ、1ボギーの4アンダー67で回り、通算13アンダーで逆転勝ちした。3月の「Tポイント×ENEOS」以来の今季2勝目(通算5勝目)。今大会は3日目が悪天候で中止になったため、54ホールに短縮されて行われ、賞金加算額は75%に減額。メルセデス・ポイントは100%で変わらない。
画像: 「大王製紙エリエールレディスオープン」で3月の「Tポイント×ENEOS」以来の今季2勝目を挙げた青木瀬令奈(撮影/岡沢裕行)

「大王製紙エリエールレディスオープン」で3月の「Tポイント×ENEOS」以来の今季2勝目を挙げた青木瀬令奈(撮影/岡沢裕行)

「趣味をすべて封印してゴルフのためにやってきた」(青木)

青木瀬令奈は勝負どころを逃さなかった。

通算12アンダーで西郷真央、原英莉花と並んで迎えた17番パー5。

重圧のかかる場面だったが、ピンまで残り55ヤードの第3打を58度のウェッジで80センチにピタリとつけた。

これが事実上のウィニングパット。ど真ん中からしっかり沈めて、スコアを通算13アンダーに伸ばすと、右手を挙げてギャラリーの声援にこたえた。

画像: 17番でバーディパットを決めて、大西翔太コーチとグータッチする青木(撮影/岡沢裕行)

17番でバーディパットを決めて、大西翔太コーチとグータッチする青木(撮影/岡沢裕行)

最終18番も集中力を維持して勝ち切った。第2打でグリーンをとらえたものの、ファーストパットは1メートルオーバー。カップを過ぎると左に流れる難しいフックラインを読み切って、返しを決めた。

右手の拳に力を込めて小さくガッツポーズ。二人三脚で戦ってきたキャディの大西翔太コーチから労いを受けると、ようやく晴れやかな笑みを浮かべた。

「小さなガッツポーズ? 私の中では結構渾身のガッツポーズだったんですけど……。趣味の宝塚とか漫画とかゲームとかお酒とか、趣味をすべて封印してゴルフのためにやってきたので、今日はちょっと飲みたいなと思います」

「飲み過ぎるとトップで手の位置が下がると言われて、禁酒しました」(青木)

得意の小技が切れまくった。

首位の岩井千怜に2打差でスタート。1番で4メートルを入れて流れを呼び込み、2番も3メートルを決めて連続バーディ。5番も3メートルを決めた。

大西コーチは勝因をこう分析する。

「やっぱり17番の3打目です。あれが寄っていなかったら優勝は難しかった。18番は距離が長いので、飛ばない青木プロには不利。プレーオフも18番を使いますから、プレーオフにはしたくない。17番で決められたのは本当によかったです。今週は勝負どころのパッティングを決めることができ、5メートル以内はほとんど入った。1、2番のバーディも大きかった。このコースは飛ばし屋が有利ですが、シード選手で一番飛ばない青木プロが優勝した。ゴルフの面白いところですよね」

画像: 青木が取り組んだ今シーズン前のトレーニング(撮影/三木崇徳)

青木が取り組んだ今シーズン前のトレーニング(撮影/三木崇徳)

この優勝は青木にとっては初めての年間複数回優勝となる。

「複数回優勝を今年こそはという気持ちでやっていたのですが、トレーニングの成果だと思っています」

優勝インタビューでは禁酒に話が及んだが、優勝記者会見でも禁酒のきっかけなどについての質問が出た。

「お祝いの席だったり、実家に帰った時に父と晩酌するくらい飲んでいたのですが、コーチからお酒を飲んだ翌日はトップで手の位置が下がると言われて、禁酒しました」

ストイックな生活も原動力となっての通算5勝目を達成し,次なる目標にはメジャー優勝を掲げた。

「次はメジャーで優勝したいのが一番です。去年のサロンパス(ワールドサロンパスカップ)で2位だったのも悔しいです。メジャーは実力を積み重ねてきて、何年かして勝てるものだと思っています」

次戦は今週宮崎で開催されるメジャー大会の最終戦、「ツアー選手権リコーカップ」。2週連続優勝でのメジャー初戴冠にも可能性が広がる。

「来週も苦手意識が強い大会ですが、去年より成長したなって感じられるようにしたいです」

ベテランの域に達しても、なお挑戦し続ける青木の今後に注目だ。

This article is a sponsored article by
''.