短い距離のパー4はチャンスホールだという印象を持つゴルファーも少なくないだろう。実際、単純に距離だけを見ると、ドライバーでの1打でグリーン付近まで寄せられて2打目でグリーンオンできそうに感じるが「飛ばすことでどれだけリスクを負うかをしっかり考えましょう」と兼濱。千葉県・太平洋クラブ八千代コース13番、レギュラーティーから278ヤード(Aグリーンの場合)のパー4を具体例にして考えてみよう。
「たしかに距離も短く真っすぐなホールなのですが、ティーイングエリアからの景色(写真A)を見てください。このホールは175ヤード付近から傾斜が下っていて、それより先の景色は見えないんです」(兼濱、以下同)
また、ティーイングエリアからは見えないが、コースレイアウトを確認すると傾斜が下ったすぐ先の左サイドにはフェアウェイバンカーが2つ並んでいて、グリーンもガードバンカーが配置されていることがわかる(写真B)。「そうなると、バンカーに入ったときのほうが怖いですよね」と兼濱。
「さらに言うと、ティーイングエリアから視認できるIPフラッグまでの距離は179 ヤード。そこから2打目でもピンまで残り100ヤードくらいと考えると、刻んでも十分2打でグリーンオンは狙えますから、無理に飛ばす必要はないなと考えることができます。むしろ中途半端に飛んでフェアウェイバンカー、ガードバンカーに捕まってしまうほうがドツボにはまる危険が高いと言えますね」
マネジメントの鉄則は「見えないところには打たないこと」だと兼濱。したがってこのホールでは179ヤードの視認できるIPフラッグを狙うのが正解。「見えるところに打っていって、ランで下りの傾斜に沿って少しだけ転がってくれてもいいかな、くらいのイメージで打ちたいですね」とのこと。
打ち下ろしでグリーンが見えず、フェアウェイバンカーとガードバンカーもあり……と少し極端な例かもしれないが、今回の例に限らず距離の短いパー4には何かしらコース設計者の罠が仕掛けられているもの。チャンスホールだと浮足立って飛ばすのではなく、リスクを見極めて刻む勇気を持つこともスコアメイクには重要というわけだ。
協力/太平洋クラブ八千代コース