リーダーボードもないQT(出場順位決定戦)は独特の重苦しい雰囲気が漂っていました。師走の葛城ゴルフ倶楽部宇刈コースは、フェアウェイは広くオープンな景観ではありますが、グリーンは速く砲台でグリーン周りもやさしくはありません。それに加えて最終日も5.5メートルの風が吹き、ショットの乱れがスコアの乱れに直結するコンディションでした。
来季のレギュラーツアーに概ね出場できる35位以内を目指して、ファーストQT通過者やポイントランク56位から70位までの選手、今季のシード選手で来季のシード権を獲得できなかった選手など104名が参加しました。
通過した上位陣を見ると、今季ケガの影響から調子を崩していた小倉彩愛選手が2位通過。「2カ月安静にして足のケガをしっかり治してからQTに向けて準備してきました」とその成果が実った形に。
同じくレギュラーツアー常連組からは、4位通過の河本結、6位通過の大里桃子、7位通過の木戸愛、8位・脇元華、10位・岸部桃子、11位・岡山絵理、12位・鶴岡果恋、13位・上野菜々子、14位・新垣比菜、18位・工藤遥加、20位・宮田成華、22位・竹内美雪、26位・三ヶ島かな、33位・山路晶、35位・エイミー・コガといった選手が順当に名を連ねました。
その中で今季不調だった大里桃子選手は、「シーズン途中から持ち球のドローをフェードに変えQTに向けて準備してきた」とは終了後の会見談。最終日はパットも決まり67の好スコアで6位通過し、「朝から吐きそうな緊張感から、ホッとしています」と、率直な感想を聞かせてくれました。
2023年のプロテスト合格組からは5位通過の菅楓華、15位通過の髙木優奈、24位通過の小西瑞穂、29位通過の吉澤柚月の4名。
菅選手は来季のレギュラーツアーでは「まずは予選通過」と言いますが、「ラインを消すつもりで打った10メートルくらいのパット」を2つ決め、最終日のスコアをイーブンパーにまとめて終えたその強気なメンタルが昨年のQT突破から2勝を挙げた神谷そら選手に重なって見えました。
15位通過の髙木優奈選手は「プロテストに比べてまったく緊張しなかったので楽しく回れました」と来季のレギュラーツアーでの優勝を目標に挙げます。
24位通過の小西瑞穂選手は「2日目終わって72位だったので、しっかりガンガン攻めてプレーしました」とプロテスト通過だけでなく、ファイナルQTの通過を目指したこの1年間の努力が報われました。
「稲見萌寧選手にあこがれる」29位通過の吉澤柚月選手は「普段はショットが得意なのですが、今回はパターに助けられた」と4日間をイーブンパーにまとめて見事に出場権をつかみました。
この中から昨年の神谷そら選手のようにレギュラーツアーで大暴れする選手は誰になるでしょうか。
他に注目する選手は、アン・シネ選手が17位で通過。「今日一日は一週間のように長かった」と3つのボギーで苦しい前半から後半はノーボギーにまとめ来季のレギュラーツアーでその姿を見せてくれることになりました。
ただ、この出場順位がすべてを決めるわけではなく例えば昨年は、QTランク82位だった比嘉真美子選手が第1回のリランキングで11位に、同65位だった鶴岡果恋選手が27位に入り、レギュラーツアーに出場し続けました。
そういう意味では下位に沈んだ実績のある選手だけでなく、多くの選手にレギュラーツアー出場のチャンスは残されています。どの選手が来季のレギュラーツアーやステップ・アップ・ツアーで大暴れするのか、順位リストを眺めながら帰りたいと思います。
PHOTO/Hiroyuki Okazawa