ゴルフの上達を目指すゴルファーにとって役立つ情報を発信する「みんゴル・ゴルファー応援隊」。その隊長に就任したシングルプレーヤー・マツケンが上達のヒントになることを紹介。今回は「ゴルフと飛距離の関係」がテーマです。
画像: よりゴルフを楽しむために「ゴルフと飛距離」について考えたい(写真はイメージ)

よりゴルフを楽しむために「ゴルフと飛距離」について考えたい(写真はイメージ)

自分の飛距離に見合ったヤーデージのコースでプレーしたい

先日、ゴルフルールの総本山、R&AとUSGAからゴルフボールの性能に関する規制を2028年から改訂するという発表がありました。ボールの飛距離性能に関する改訂は2004年以来、約20年振りとなります。

ゴルフゲームにおいて、遠くまでボールを飛ばすということは大きな魅力です。これほど遠くまでボールを飛ばせるゲームは他にありません。では、どうしてその距離を規制しようとするのでしょう?

一番の理由は、コースの問題です。

ゴルフコースはプレーヤーの飛距離を想定した上で設計されています。例えば、パーの設定もホールの飛距離によって定められていて、パー5のホールでは基本的には、3打目でグリーンを狙うことを前提に攻略ルートが設定されています。

これが極端な話、1打目で残り100ヤードの地点まで飛んでしまうとしたら、途中に設けられたバンカーなどの障害が意味をなさなくなってしまいます。また、グリーンの形状や傾斜も使用されるクラブがどのくらいの番手なのか、ということも考慮して設計されています。

例えば、距離のあるミドルホールで、セカンドショットの番手がロングアイアンやフェアウェイウッドになるのなら、グリーン手前には花道を設けて、ランを使った攻め方が出来るようにしたり、一方、ショートアイアンで打たせるグリーンなら、奥行を狭くしたり、手前に深いバンカーを設けたりして、難易度を高めたりします。

こうしたコース設計当初の攻略ルートが、極端な飛距離のアップによって無意味になってしまうことを危惧しているのです。

トーナメントコースでは、使用するティーを後方に作り直したりして、距離を長くする改造が毎年のように行われていますが、それでも今のトップレベルのプレーヤーの飛距離のアップには対応が追いつかなくなっています。大きな話でいえば、そうしたコース改造を強いられることは地球や自然の環境にも負荷をかけることにもなります。

今回の規制で、ボールの性能は抑えられ、トーナメントプロやエリートアマの大会では2028年から、一般アマも2030年から「飛ばないボール」でプレーすることになります。

これがどの程度の影響を受けるかは、実際のところハッキリとは分かりません。ただ、プロではないほとんどのプレーヤーの皆さんに、この機会に考えて頂きたいのは、

「自分の距離に見合ったヤーデージのコースでプレーする」ということです。

先ほどお話しした通り、コースには設計者の意図した攻略ルートがあり、想定している使用クラブがあります。

例えば、ドライバーの飛距離が220ヤードというプレーヤーが7000ヤードもあるコースでプレーしたら、セカンドショットはほぼウッドになってしまいますし、ベストショットを2度続けてもグリーンに届かない、というケースが増えてしまうことでしょう。

これでは、本来のレイアウトや攻略ルートを堪能することは出来なくなってしまいます。ティーショットに成功したら、グリーンを狙うショットが打て、グリーンへの攻略ルートを考えてプレーする。こうした楽しみを持てるような距離設定でプレーして頂けたらと思うのです。

USGAとUSPGAは共同で、「Tee It Forward」というスローガンを提唱しています。もっと前へ。自分の飛距離に適したティーからプレーするということです。

参考までに、その指標を掲げます。

1Wの飛距離    推奨するトータルヤーデージ
300ヤード     7150~7400ヤード
250ヤード     6200~6400ヤード
200ヤード     5200~5400ヤード
175ヤード     4400~4600ヤード
150ヤード     3500~3700ヤード

いかがですか?

「こんな距離じゃ、短すぎてつまらない」という方もいるかも知れません。また、5000ヤードを切るような総ヤーデージのレディスティーもあまり多くないかと思いますので、この指標に合わせてプレーするのは難しいかも知れません。

でも実際には自分の飛距離に対して長すぎる距離でプレーしているゴルファーが、とても多いと感じています。

シニアの方で飛距離が落ちてしまっているのに、ずっとバックティーにこだわっていたり、女性の方でも「白ティじゃないと上手くならない」みたいな迷信? に囚われている方も見かけます。

一番止めて欲しいのは、男性が女性に対して「どうせ赤ティでしょ?」というような「ティーハラスメント」とも言える発言です。

そうした事を言われるためか、女性ゴルファーにベストスコアを聞くと、「白からだと○○、赤からだと○○」などと答える方も多いです。

いやいや、どのティーからプレーしてもベストはベストではないですかね?

今、使用ティーに関する考え方は大きく変わってきています。ティーマークについて、レディスティーとかシニアティーという呼び方を止めるコースも増えてきています。要は変な見栄や他人の発言などを気にせず、もっと自由にティーを選び、適正なヤーデージで、ゴルフを愉しんで頂きたいのです。

帝王と呼ばれたジャック・ニクラス氏は、バーバラ夫人とラウンドを愉しむ時、夫人と距離が近くなるように自ら開発した「ケイマンボール」という飛ばないボールを使用していたそうです。いやー、さすが、ジャックですよね。

ボールが飛ばなくなっても適正なティーをチョイスすれば、決してゴルフゲームの魅力が損なわれることはないと信じます。

皆さんもこの機会に、もっとゴルフを楽しむために、「ゴルフと飛距離」について考えて頂けたらと思います。

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