インパクト音がはっきり聞こえるのが長所
みんゴル取材班(以下、み):先日、シニアツアー最終戦「いわさき白露」をネット中継で観戦したのですが、初代「ホワイト・ホット」を使う選手がけっこういました。解説の今野康晴プロも「やっぱり初代のインサートはいいですから」と言っていましたが、いったいどこがいいのでしょう。
宮城:初代「ホワイト・ホット」の長所はインパクト音がはっきり聞こえるところです。近頃のパターは打感のやわらかさを求めているのか、あまり音がしないものが多くなりました。フェース面にミーリングが入っているものなんかは、とくにやわらかいのですが、初代「ホワイト・ホット」はカツッという硬めの締まった音がします。
み:「ホワイト・ホット」のフェースインサートはボールのウレタンカバーと同じ素材ですよね。やわらかそうなイメージですが。
宮城:最近のモデルのことは分かりませんが、昔の「ホワイト・ホット」の白いインサートは剥がしてみるとペラペラに薄くて、その下側に2層目のインサートが入っていました。2層目はプラスチックのような黒くて硬い樹脂でした。
み:よく見つけましたね。
宮城:谷口徹選手が使っていたマレットタイプの「ホワイト・ホット」のインサートが剥がれかけていたので、めくってみたんです。
み:ずっと使っていた『#5』ですか。それ、相当大事にしていたパターですよね。怒られませんでしたか。
宮城:止めろよって言われましたが、どのみち剥がれかけていたので。その後ちゃんとアロンアルファで張り直しましたよ。
み:ところで、なぜシニアプロには硬めの音が好まれるのでしょうか。レギュラーツアーでも岩田寛プロなんかが「ホワイト・ホット」を使っています。
宮城:昔は、音で距離感を出すプロが多かったからです。タイガー・ウッズなんかはそもそも樹脂インサートは使わないし、高い音がしないと距離を合わせられないと自分で言っています。音がしないパターはしっかり打てている気がしないので、強く打ち過ぎてしまいます。初代「ホワイト・ホット」はほとんどのプロが使ったことがあるし、その当時のいいフィーリングを覚えているからでしょう。
み:20年も前の感覚をいまだに忘れていない。
宮城:使わないクラブを処分してもパターだけは、パターだけは手元に残しているプロはかなりいますよ。多少鈍ってきたときに初代「ホワイト・ホット」なんかを打てばすぐに感覚を取り戻せます。それと、初代「ホワイト・ホット」を手放せない大きな理由がもう一つあると思います。
み:それはなんでしょう。
宮城:いまのパターは重くなってしまいましたが、初代「ホワイト・ホット」は2ボールでもヘッド重量が軽いので自分の感覚を出しやすいからです。