木越えのショットを打つ際は「避けなかった場合のリスク」を考えることが大切だ。そのうえで迂回する選択肢を取るケースも多いが、状況によっては「もちろん積極的に木越えを狙って問題ない場合もあります」と兼濱は言う。
「具体例として千葉県・太平洋クラブ八千代コースの16番ホール(パー5、Bグリーンの場合Mティーから520ヤード)で考えてみましょう。ボール地点(写真A)はグリーンまで約140ヤードで、次が3打目の想定です。グリーンの目の前に木があり(写真A赤丸)、加えて左足上がりでグリーンがまったく視認できない状況ですが、これは左に迂回せず木越えを狙っていい状況なんです」(兼濱、以下同)
いったいなぜなのか。それは「無理せずとも木を越える高さが確保できる状況が整っているからです」と兼濱は続ける。
「まず左足上がりのライから打つため、高さが比較的出やすい状況です。加えて、木とボールとがある程度離れていることも大きいですね。木との距離が近い場合は打ち出し後の早い段階、つまりまだボールが上がり切っていない状況で木越えをしなければいけないのですが、それは相当難しいですよね。しかし距離が離れていれば自然とボールに高さがありますので、その状態で木を越えることができるんです」
ライの状況はホール次第だが、十分な高さを自然と出せる程度の距離をあえて残すのはマネジメントの領域。520ヤードのパー5で、残り140ヤードの3打目……各々の飛距離にもよるところだが、要はセカンドで欲張らずある程度刻んでいることで、木越えを狙える状況になっているというわけだ。
「さらに言うと、木を越えらなかったとしても痛手にならないという点も大きいです。グリーンとの距離が近いので(写真B)、木に当たって真下に落ちたとしても短いアプローチが残るだけなんです」
つまり無理せず木を越える高さを出せる+ミスしたとしてもリカバリーが容易い=木越えを狙っていい、というわけ。「僕なら上手くいって木を越え、グリーンに直で乗せれたらラッキーくらいのイメージで打ちますね」とのことだ。木があったら無条件で迂回を選ぶのもセーフティな選択だが、しっかりと考えてリスクが少ないと踏んだならば積極的に木越えを狙っていくのもいいだろう。
協力/太平洋クラブ八千代コース