2023年メルセデス・ランキング36位で来季のシード権を獲得した永井花奈にインタビュー。開幕戦からいきなり3試合連続予選落ちで苦しいシーズンとなったが、どう立て直したのか? 24年の展望は? 今の本音を語ってもらった。

画像: ヤマハのイベント後にインタビュー

ヤマハのイベント後にインタビュー

23年は開幕から「逆球」の絶不調状態

「開幕からショットがしっくりこなくて、逆球とかも出ている状態でした」

永井は22年の5月ごろからコーチが青山充プロに変わり、球筋をドローからフェードにチェンジ。20-21年にシード落ちして、シード返り咲きを果たしての23年シーズン開幕。「スタートダッシュは得意だったんです」という今までのシーズンとは違い、3月の開幕から3週連続予選落ち、4月バンテリンレディスまでの7試合で予選落ちは5試合を数えた。

「昨年はシーズン中に球筋を変えたばっかりだったので、スライスでもいいから左から右に曲がる球を打ちたくて、オフになってより質のいいフェードにするために取り組んだんです。でもシャローに緩くってやっていたら、ドローもフェードも両方出るようになって、開幕するっていうタイミングになってしまったんです」

画像: 23年シーズンの後半戦は、長いクラブはフェードで、アイアンはストレートで立て直した

23年シーズンの後半戦は、長いクラブはフェードで、アイアンはストレートで立て直した

それをシーズン中にどう立て直したのか?

「オフに、より良くしようとするはずだったのに、開幕したら試合で使いものにならなくて……。それならと、もう一回スライスっぽいフェードにもっていったら、なんとか予選通過できるようになったんです。後半戦は、アイアンショットの考え方を変えて……。フェードを意識してもあんまりきれいに打てないから、ストレートというか真っすぐでもいいんじゃないかと。後半はそれで少し良くなったんです。長いクラブはフェードで、アイアンはストレートで打つようになりました」

ほかにも変えたことはあった?

石川遼直伝の"砂打ち"がシード獲得のきっかけになった

画像: 15年に参加した石川遼の沖縄合宿。左が石川遼、右から2人目が永井

15年に参加した石川遼の沖縄合宿。左が石川遼、右から2人目が永井

「じつはずっと続けていることがあって……。バンカーからのショット練習は、練習できる環境がある試合なら、いつもやっているんです。ツアーでもなかなできる会場がないんです。伊藤園では、バンカーからのフルショットではなく、アプローチ練習をやったんです。そしたら、ヘッドの入りが良くなって、伊藤園もエリエールも結果が出て、(メルセデス・ランキングは)なんとか40番を切りました」

プロ入りする前ぐらいに石川遼プロの沖縄合宿に参加してバンカー練習している姿を見たことがった。

「あのときの合宿は、バンカーから朝2時間アプローチ、朝の科目が終わって、午前中はそれだけ。お昼ご飯を食べて、ショットを打って、ラウンドするのが1日のメニューでした。砂から練習していると、ヘッドの入りが良くなることをそこで知りました。それで、家の庭にちょうどいい砂場があるんですよ!」

画像: 砂にヘッドを入れる感覚がショットとアプローチ上達に欠かせない

砂にヘッドを入れる感覚がショットとアプローチ上達に欠かせない

家でも砂の練習ができると。

「2打席分ほどの砂場のスペースがあるので、今年のオフは砂の練習をしっかりやりたいですね」

昨年夏ごろに自宅を購入し、自宅には庭以外にもGCクワッドを取り入れた練習スペースもある。

「青山コーチからデータの読み方やクセの見方を教えてもらったので、データ分析しながら、基本も大事にしていきたいです。昔の人って、ヘッドの入りがいいじゃないですか。難しいアイアン(クラブ自体)で、土みたいなところから練習していた。データだけに頼り過ぎるのもどうなのかとも思うんです。私より下の世代の古江(彩佳)ちゃんとか、ちょうど両方やってる世代だと思うんです」

藤井聡太八冠がふだんの基本練習にAIを取り入れているのと同じだ。

「そうです。あの世代はだから強いんだと思います」

画像: 「自撮りが苦手」という永井が自撮りにチャレンジ。24年に向けて、新たなチャレンジは?

「自撮りが苦手」という永井が自撮りにチャレンジ。24年に向けて、新たなチャレンジは?

オフは練習も大切だが、休みは?

「私は釣りが趣味ですが、サウナが大好き。シーズン中でもスーパー銭湯でお風呂にしっかりつかりながら、サウナで整えていました。じつは、先ほど話した自宅の庭に井戸があって、水質を調べたら、ラドン泉質だったんです。家の庭でお風呂とサウナを作ろうと家族で話してます」

オフは体とスウィングを整えて、24年開幕に向けては?

「やっぱり優勝したいのは変わらない目標です。ただ、試合も増えて、ハードスケジュール。元気にパワーアップすることは難しいです。年齢的にもやはり体力は落ちていくので、体とどう向き合うのかが大事。やみくもに練習しても無理な年齢なので……。シーズン中もサウナで体を整えながら頑張ります」

24年はツアー8年目を迎える。若手の”データゴルファー”たちに、27歳の”砂打ちプロ”がどう立ち向かうか見物だ。

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