女子プロたちの世界進出は渋野日向子の全英女子オープン優勝から始まった
2019年の渋野日向子の全英女子オープン優勝をきっかけに、人気に火が付いた感のある女子ツアー。けん引役となった渋野たち”黄金世代”はジュニア時代から海外での試合経験が豊富で、積極的に”世界進出”を果たしているが、先陣を切ったのは畑岡奈紗だ。
さらに畑岡より若い笹生優花が21年のQ全米女子オープンでメジャー制覇を果たし、そのまま米女子ツアーに定着。同じ年のQシリーズでは渋野と古江彩佳が出場権を獲得し、22年から米女子ツアーに参戦。
23年からは勝みなみと西村優菜の2人が同じくQシリーズを経てアメリカに渡っている。
以前は日本のツアーである程度の実績を残してから海外へ挑戦することが多かったが、最近はまだ若いうちに世界へ出ていく選手たちが増えている。
そして24年、新たに3人の選手が米女子ツアーに参戦する。
まずは稲見萌寧。9月に日本で行われた日米両ツアー共催の「TOTOジャパンクラシック」で優勝し、思いがけず米女子ツアーのメンバーシップを獲得する権利を得た。これまで「日本ツアーに専念する」と公言してきた稲見だが、チームの後押しを受けて挑戦することを決断した。
その稲見に加えて、Qシリーズを2位で突破した西郷真央、7位で突破した吉田優利の2人も、24年から米女子ツアーに参戦する。
日本での実績、Qシリーズでの成績を見ても、ここ数年で渡米した日本の選手たちのように、初年度から優勝争いに加わる姿を見ることができそうだ。
こうした日本ツアーのトップクラスの若手選手の世界進出は、今後も続くだろう。同世代の選手たちが海外で結果を出し飛躍する姿を目の当たりにすることで、「私も!」と考える選手たちもおり、相乗効果が生まれている。
さらに世界進出の波はトップクラスの選手だけに限らない。国内女子ツアーでは、翌年の出場優先順位を決定するQTの出場資格に”プロテスト合格”を加えた。以前はプロテストに失敗してもQTで好成績を上げればツアーに参戦するチャンスがあったが、プロテストに合格しなければ国内では試合に出られなくなってしまった。
そうした選手たちのなかには、プレーの場を求めて海外のツアーのQTを受験する選手がいるのだ。実際、識西諭里はQTから出場資格を得て、欧州女子ツアーで23年シーズンを戦った。今後も識西のような選手は増えるだろう。
※本記事の全文「新春恒例ワイド特集」は『週刊ゴルフダイジェスト』2024年1月9&16日号、および『MYゴルフダイジェスト』に掲載されています。
※週刊ゴルフダイジェスト2024年1月9&16日合併号「新春恒例ワイド特集」より一部抜粋