2024年に入り、まだ半月だが、これまでにキャロウェイゴルフ(1月5日)、テーラーメイドゴルフ、ピンゴルフ(ともに1月10日)と大手海外クラブメーカーが2024年モデルを立て続けに発表。そして、海外の新興勢力であるPXGも1月12日に2024年モデルを発表した。各社から謳われているのはほぼ同じで「“やさしさ”と“飛距離”の両立」ということだ。

『Black Ops』シリーズはドライバー、フェアウェイウッド、ハイブリッドで展開

「これまでにない最高のゴルフクラブを作りたい」という創業者ボブ・パーソンズの想いから、開発コストや時間に糸目をつけずに製品開発を行い、2013年に設立されたPXG。これまでは『GEN(ジェネレーションの略)』というシリーズで『GEN6』まで進んだが、2024年モデルはカスタムフィッティングを前提に設計された『Black Ops(オプス/オペレーションの略)』という新シリーズで展開。1月12日より先行予約を受付中で、商品の発送は発売日の1月24日以降になるという。

『Black Ops』の開発に対して、ボブ・パーソンズは「なぜゴルファーは、やさしさを高めるために飛距離を妥協してしまうのか、常々疑問でした。我々は、この課題に焦点を当てた研究開発に力を注いできました。そして、ついに問題を打破できました。Black Ops ウッドは、矢のように真っ直ぐボールを飛ばし、驚くほどやさしく、スタイリッシュです」と語る。

『Black Ops』のラインナップはドライバー、フェアウェイウッド、ハイブリッドで、「あらゆるレベルのゴルファーが、これまでにない一貫性でボールを遠くに真っすぐ飛ばすために素材の追求を優先」して生まれたという。また、打音・打感にもこだわり、構造物や物体がどのように振動し、加えられた力に対してどのような耐性があるのかという、物体の構造力学を理解するために不可欠な“モーダル解析”テストを通して、心地よい打感・打音を生むウェイト構造を開発。またPXGの代名詞ともいえる“ウェイティングテクノロジー”もクラブヘッドの周辺部ギリギリに配置し、ヘッドの外壁に固定することで構造が安定し、打感・打音が向上したという。では、各クラブについて詳細を見ていこう。

画像: 左上から時計回りに『0311 Black Ops ドライバー』『0311 Black Ops Tour-1 ドライバー』『0311 Black Ops ハイブリッド』『0311 Black Ops フェアウェイ』

左上から時計回りに『0311 Black Ops ドライバー』『0311 Black Ops Tour-1 ドライバー』『0311 Black Ops ハイブリッド』『0311 Black Ops フェアウェイ』

1Wは『0311 Black Ops』と『0311 Black Ops Tour-1』の2機種

『Black Ops』ドライバーは、Advanced Material Face(先進素材フェース)の頭文字をとって、「AMFテクノロジー」と呼ばれるフェース設計で、素材には独自の高強度チタン合金を、また部分肉厚設計で、効率的なエネルギー伝達を可能にしたという。高精度加工のロボット研磨により、バルジ(水平方向の湾曲)とロール(垂直方向の湾曲)を戦略的に調整することで、曲率半径が異なる設計が可能になり、オフセンターヒットに対するクラブの反応が最適化され、やさしさと全体のパフォーマンスが向上した。ボディは新しい高強度複合構造で、クラウンとソールには、ハイグレードカーボンファイバーを採用。これにより、余剰重量を効果的に配置でき、慣性モーメントを高め、重心位置をより低く深くでき、高打ち出し、低スピン設計となった。 また、PXGは“ウェイティングテクノロジー”で個々人に合ったカスタムができるが、この『Black Ops』シリーズにも取り替え可能な12.5g(1個)と2.5g(2個)のウェイトが標準装備されており、求めるスピンとバイアスに合わせた調節が可能。さらに、「カスタムを前提」というだけあって、追加ウェイトは2.5、5、7.5、10、12.5、15、17.5、20gから選択でき、微調整が可能だ。ちなみに、ウェイト調整によって、ヘッド慣性モーメントを10000g・㎠以上に高めることもできるという。

画像: 各モデルでヘッド形状やウェイト位置が異なっている。上が『Black Ops ドライバー』、下が『Black Ops Tour-1 ドライバー』

各モデルでヘッド形状やウェイト位置が異なっている。上が『Black Ops ドライバー』、下が『Black Ops Tour-1 ドライバー』

ヘッド形状は幅広いゴルファーに向けて設計された『0311 Black Ops ドライバー』とツアープロからのフィードバックをもとに開発した『0311 Black Ops Tour-1 ドライバー』の2種類。『0311 Black Ops ドライバー』は高打ち出しと低スピンとやさしさを持ち、『0311Black Ops Tour-1 ドライバー』はディープフェースで『0311 Black Ops ドライバー』よりも浅重心設計の低スピンモデル。価格は『0311 Black Ops ドライバー』が10万4500円、『0311 Black Ops Tour-1 ドライバー』が11万5500円。

画像: 『0311 Black Ops ドライバー』

『0311 Black Ops ドライバー』

画像: 『0311 Black Ops Tour-1 ドライバー』

『0311 Black Ops Tour-1 ドライバー』

PXG契約のPGAツアープロであり、新人賞を獲得したエリック・コールは、『Black Opsドライバー』を試したその週に、ザ・RSMクラシックで3位タイ。「やさしさとスピードのバランスが素晴らしい。このドライバーに変えたら、スピードと安定感、オフセンターショットのパフォーマンスの向上を実感しました。上から見た時の見え方も素晴らしく、ツアーでも自信を持って打つことができます」と話している。

画像: PXGの契約プロであるエリック・コール。日本女子プロ黎明期に活躍したローラ・ボーを母に持つ努力家(写真は2023年ZOZOチャンピオンシップ。撮影/岡沢裕行)

PXGの契約プロであるエリック・コール。日本女子プロ黎明期に活躍したローラ・ボーを母に持つ努力家(写真は2023年ZOZOチャンピオンシップ。撮影/岡沢裕行)

クラブロフト角標準ライ角標準クラブ長ヘッド重量
0311 Black Ops8度、9度、10.5度、12度60度45.5インチ203g
0311 Black Ops TOUR-18度、9度、10.5度58.5度45.5インチ203g
BLACK Ops ドライバーの基本スペック

フェースの薄肉化で飛距離性能が向上

『0311 Black Ops フェアウェイ』と『0311 Black Ops ハイブリッド』は、どちらもフェースに高強度ステンレススチールを採用。従来モデルのフェースに比べ、フェアウェイは12.5%、ハイブリッドは10.5%薄くなったといい、弾性も増すことで飛距離性能がアップ。またペリメーター(ヘッド周辺)の側面を垂直にすることでフェース面積を増やす“スクエアフェースデザイン”と組み合わせることで、クラブヘッドのやさしさが向上し、高初速、高打ち出し、低スピンを実現したという。 また、どちらのクラウンも、ハイグレードカーボンファイバーを採用することで、ドライバー同様に余剰重量を増やし、ソールやヘッド後方に再分配することで、理想的な重心位置を実現し、打ちやすくなった。フェアウェイウッドとハイブリッドにも、“ウェイティングテクノロジー”があり、個人に合わせたカスタムが可能だ。価格は『0311 Black Ops フェアウェイ』が4万9500円、『0311 Black Ops ハイブリッド』が4万6200円。

画像: 『0311 Black Ops フェアウェイ』

『0311 Black Ops フェアウェイ』

画像: 『0311 Black Ops ハイブリッド』

『0311 Black Ops ハイブリッド』

昨年のアムンディ・エビアン選手権で優勝したセリーヌ・ブティエは「新しい『0311 BlackOps ハイブリッド』をとても気に入っています。打感が軟らかく、やさしいというのが第一印象です。ヘッドは従来のモデルよりも少し大きめなので、自信を持って打てます。今シーズンこのクラブをバッグに入れて試合に出場するのが楽しみです!」 とコメントしている。

画像: PXGの契約プロであるセリーヌ・ブティエ。今年は母国フランスでオリンピックがあるだけに昨年以上の活躍が期待される(写真は2023年アムンディ・エビアン選手権。撮影/姉崎正)

PXGの契約プロであるセリーヌ・ブティエ。今年は母国フランスでオリンピックがあるだけに昨年以上の活躍が期待される(写真は2023年アムンディ・エビアン選手権。撮影/姉崎正)

番手ロフト角標準ライ角度標準クラブ長ヘッド重量
3W15度58.5度43インチ215g
4W17度58.5度43インチ215g
5W18度59度42.5インチ219g
7W21度59.5度42インチ224g
Black Ops フェアウェイの基本スペック
番手ロフト角標準ライ角標準クラブ長ヘッド重量
2H17度58度40.75インチ230g
3H19度58.5度40.25インチ235g
4H22度59度39.75インチ240g
5H25度59.5度39.25インチ245g
6H28度60度38.75インチ250g
7H31度60.5度38.25インチ255g
Black Ops ハイブリッドの基本スペック

なお、『Black Ops』シリーズの開発者であるカレブ・クロロフ氏にインタビューする機会を得たので、その内容は後日改めて!

PHOTO/Hiroyuki Okazawa、Tadashi Anezaki

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