予報よりも早く7時30分のトップスタートから雨が降り始め、20度近くあった昨日に比べて最終日の気温は12.7度と冷え込んだ中でのプレーになりました。悪天候を見込んで予選通過のイーブンパー38位タイまでの50人からセカンドカットが実施され、1アンダー28位タイまでの37人が10番から9ホールの短期決戦でスタートしました。雨で柔らかくなったグリーンはボールが止まるようになり、ピンをデッドに攻めるシーンが散見されました。
首位と3打差で最終組の5組前から出た申ジエ選手は、16、18番のチャンスを逃しながらも5アンダーで猛追し9アンダーでフィニッシュ。惜しくもプレーオフには届きませんでしたが、パリ五輪出場を目指す36歳は、コンビを組んだ中川桂輔キャディに「明日の最終日は天候が崩れてスコアをのばしにくくなるはず。3打差はあってないようなものだから」と話し、それを受けて中川キャディは「攻めて行くつもりでスタートしました」と話してくれました。
申選手はピンを狙うショットのほぼすべてがピンを刺し、バーディチャンスを量産。この試合がJLPGAの今季初戦でしたが、しっかり優勝争いに絡み3位。18番のバーディパットまで目が離せないプレーを見せてくれました。
優勝した鈴木愛選手は、出だしの10番パー4をボギーとするも12番から3連続バーディ。一方の小祝選手も13、14番と連続バーディというデッドヒート。鈴木選手は15番をボギーとするも16番パー5で50センチにつけ小祝選手追いつきます。17番パー3では5メートルを先に決めた小祝選手に負けじと、鈴木選手もしっかり入れ返し10アンダーで並んで18番に向かいます。その最終ホールは両者パーでプレーオフとなります。
プレーオフ1ホール目では決着がつかず、18番を繰り返した2ホール目でピン手前のバンカーから3メートルのパーパットを決めた鈴木選手に対して、小祝選手は4メートルのファーストパットを「入れたい気持ちが強かった」と2メートルオーバー。返しのパーパットが外れ、鈴木選手が2週連続優勝で通算20勝目を飾りました。
初日、2日のショットの調子の悪い中でアプローチとパットでスコアを崩さずに我慢できた点、昨日のラウンド後の練習で「ドローが強くなっていたので、フェードを打つ練習をしたこと、ボールとの距離が離れすぎていたので近くに立ち、体も起こした」と自分で考えショットを立て直しできたことが最終日のプレーにつながったと会見で話しました。
先週の「明治安田生命レディス」の3日目を首位で終えたあと、最後まで練習グリーンに残ってパット練習をしていましたが、昨日も17時半を過ぎてもパット練習を続けていました。開幕戦から続けている、両わきの下にクラブを挟んでストロークするドリルを朝の練習グリーンでも感触を確かめながらスタートホールへと向かっていました。
コロナ以前は最後まで残ってパット練習している鈴木選手の姿は恒例でしたが、ここ数年は見られなくなっていました。それがオフのトレーニングの成果もあり体力だけでなくモチベーションも上がったことで「今年の鈴木愛は違うぞ、と見せつけたい。若手の壁になって『待った』をかけたい」という思いを胸に今季に臨んでいるといいます。
一方、プレーオフで敗れた小祝選手は、「悔しさしかない。この悔しさを来週に向けてたくさん練習して優勝できるように頑張りたい」と前を向きます。16番パー5で1メートルにつけたバーディパットを外しても、17番で入れ返す強さを見せてくれた小祝選手も近々優勝カップを掲げる姿を見せてくれることでしょう。
永久シード(30勝)を目標に気持ちも新たに突き進む鈴木選手。今季の女王争いの中心になることは間違いなさそうです。