ゴルフに関する様々な理論に精通するインストラクター・大庭可南太が、少し前に話題になっていた「シャローイング」について解説する。

こんにちは。ゴルフインストラクターの大庭可南太です。さてPGAツアーでは、パターを変えてより一層強くなった世界ランク1位のスコッティ・シェフラーが、ザ・プレーヤーズ選手権でも優勝して、4月初旬のマスターズでも優勝大本命になっております。

しかしマスターズといえば、昨年優勝のジョン・ラームはじめ、過去優勝者や直近5年のメジャー優勝者などの参加資格で、LIVゴルフ勢が多く参加してきます。「世界で本当に今強いのは誰なのか」という、まるでサッカーのW杯のような様相になることを想像すると楽しみで夜も寝られません。

さて、そんなLIVゴルフ勢でやはりマスターズ出場が予想されるブライソン・デシャンボーが、なぜか突如「シャローイングの動きね。アレ良くないよ」という動画をインスタグラムに投稿して話題になっております。というわけで今回は、ちょっと前に話題になっていた「シャローイング」について検証してみようと思います。

「シャローイング」ってなんだ?

早速今回のデシャンボーのインスタグラムの投稿から、彼がどういう主張を行なっているのかを見てみることにします。

画像: 画像A トップの切り返し付近で、左膝を目標方向に向けるような動きを入れるとともに、クラブヘッドを背中側に倒す動き。「シャローイング」として話題になった(ブライソン・デシャンボーのSNSから引用)

画像A トップの切り返し付近で、左膝を目標方向に向けるような動きを入れるとともに、クラブヘッドを背中側に倒す動き。「シャローイング」として話題になった(ブライソン・デシャンボーのSNSから引用)

トップの若干スクワットした状態から、左ひざを目標方向に向けるような動きを入れるとともに、クラブヘッドを背中側に倒す、いわゆる「シャローイング」と言われた動作について、デシャンボーは「やらないほうがいいよ」と言っているわけです。

実はこの「シャローイング」は、その特徴的な動作から当時一般ゴルファーの間でも話題になり、個人的にもレッスンでお客様から「アレやったほうがいいの?」というご相談を多数いただいたのを覚えています。

私は当時「あまりオススメはできません」と申し上げていたのですが、その理由として、まさに画像A(右)でデシャンボーがそうなっているように、過度にクラブヘッドを背中側に倒してしまうと、肝心のクラブヘッドがインパクトプレーンから外れる、あるいは同時に手元が浮いてしまうという現象が発生しやすいからです。

さらにいえば、そのように提唱しているジョージ・ガンカスや彼の教えを受けた人の動画を見ても、実際に本人が打っているのを見ると、そこまで極端な動きにはなっていないというか、わりとノーマルなスウィングに見えましたので、「このくらいシャローにする意識があったほうがいいよ」という感覚論の一つとしてとらえていました。

そもそもシャローにする動きは必ず入る

本質的には、ゴルフというのはインパクト次第でナイスショットかどうかが決まるので、良いインパクトを迎えるスウィングプレーンをいかにして構築するのかが重要になります。そのように考えると、アドレス、トップ、インパクトと、クラブシャフトが動くプレーンは通常刻々と変化しているわけです。

画像: 画像B 一般的なスウィングではアドレスからトップにかけて、プレーンがスティープ(急勾配)になり、ダウンスウィングでシャロー(緩勾配)にしていくことでインパクトのプレーンに移行している(写真はコリン・モリカワ 写真/KJR)

画像B 一般的なスウィングではアドレスからトップにかけて、プレーンがスティープ(急勾配)になり、ダウンスウィングでシャロー(緩勾配)にしていくことでインパクトのプレーンに移行している(写真はコリン・モリカワ 写真/KJR)

つまり一般的なスウィングでは、トップの「スティープ」なプレーンからインパクトの「シャロー」なプレーンに移行する動作が、多かれ少なかれ必ず入っています。

機械的に考えると「ずっとインパクトのプレーン上」でクラブを動かせればシンプルなのですが、画像Bで表現すると、ずっと赤い線の上をなぞるようにクラブを動かしていくと、トップの位置がものすごく低くなる窮屈なスウィングになると思われます。人体の構造的には、やはり首と右肩の間の空間に左腕が入っていくようなトップが自然になりますので、やはりこのプレーンのシフトが必要になってくるわけです。

ちなみに、「じゃあインパクトプレーンを最初からスティープにしておけば、終始同一プレーン上でクラブを動かせるはず」と考えたのがまさにデシャンボーのスウィングです。

画像: 画像C 最初からインパクトのプレーンを想定して、ハンドアップな状態からトップに向かうブライソン・デシャンボーのスウィング(写真/姉崎正)

画像C 最初からインパクトのプレーンを想定して、ハンドアップな状態からトップに向かうブライソン・デシャンボーのスウィング(写真/姉崎正)

確かにこれならばシャローにする動作を最小限にできますが、実際にはクラブの仕様も特殊なものにする必要があるなど難点はあります。

つまり一般的なスウィングにおいて「シャローにする動き」はやはり必要ということになります。

「シャローイング」のメリット

そこでもう一度「シャローイング」のメリットについて考えると、「シャローにする」ことに加えて、ダウンスウィングの中に両手が操作を行う意識を持つことで、発生しがちな諸問題を回避できる可能性がある、ということが考えられます。

画像: 画像D ダウンスウィングにおけるアマチュアの代表的なスウィングエラーがいくつかあるが、「シャローイング」の意識を持つことでこれらを緩和できる可能性がある(画像はTitleist Performance Instituteより)

画像D ダウンスウィングにおけるアマチュアの代表的なスウィングエラーがいくつかあるが、「シャローイング」の意識を持つことでこれらを緩和できる可能性がある(画像はTitleist Performance Instituteより)

そもそもアマチュアの場合、ダウンスウィングの早い段階で体が伸び上がってしまう「アーリーエクステンション」、その結果としてクラブが外から下りてくる「オーバーザトップ」という状態になり、さらにそこからインパクトに間に合わせるために「アーリーリリース」になる、といったことが連鎖的に起きやすくなっています。

本来ダウンスウィングでは、下半身や体幹の動きにクラブが「遅れて」くることでインサイドからスウィングできるのですが、ダウンスウィング初期でクラブヘッドを背中側に倒す「シャローイング」の操作を行う意識になることで、クラブの「遅れ」を作りやすくなるという「方法論」ではないかと思っています。

これに対してデシャンボーは、「ダウンスウィングで両手が右のズボンのポケットをかすめるように、『両手を下に動かす』ほうがいい」と動画の中では主張しています。

「両手を下に動かす」ということは、その動いてくる両手が入ってくるスペースが確保されているということであり、つまりこのコラムで再三登場してくる「ヒップクリア」(アドレスでお尻に引いたラインよりもボール方向に近づかない)の位置が必要になります。

重要なことは、「良いインパクトを迎えるには」という目標を見失うことなく、自分に合ったやり方を探していくことだと思います。

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