みんなのゴルフダイジェストをご覧の皆様、こんにちは。SPORTSBOX AI・3Dスタッフコーチの北野達郎です。今回は2週連続優勝のスコッティ・シェフラーのアイアンショットをスポーツボックスAIのデータをもとに分析してみましょう。今回はドライバーではなくアイアンショットなのでご注意を!
シェフラーのアイアンショットを分析すると、
- アドレスで胸と骨盤の左右差が大きいビハインド・ザ・ボール
- リバースピボットを利用して、軸をセンター〜左足側へに戻す
- ドライバーとアイアンで胸の左への移動量を分ける
この3点が特徴的でした。それでは早速チェックしてみましょう。
自分の特徴から逆算されたグリップとアドレス
まずアドレスですが、左右ともスクエアグリップで握っています。スクエアグリップはフェースを開いて閉じる腕のローテーションを行うシェフラーにとって相性が良いです。また、特徴的なのはアドレスでの「SWAY GAP」というデータ項目で、これは「胸と骨盤の左右差」を計測します。
この胸と骨盤の左右差のアドレスでのデータを見ると、シェフラーは−5.6cm胸が骨盤より右に位置しています。実はこのデータはアイアンショットでのPGAツアーレンジ(アドレスで−0.5〜−3.6cm右)と比較するとシェフラーは、かなりビハインド・ザ・ボールの度合いが強めで構えていることが分かります。これはシェフラーが「フロントポスト」と呼ばれる「左足軸タイプ」であることが関連しています。この関連性を次のトップで解説します。
ビハインド・ザ・ボールのアドレスから、リバースピボットを利用してセンターに戻るトップ
続いてトップを見てみましょう。先程アドレスでお話しましたビハインド・ザ・ボールのアドレスの関連性ですが、シェフラーはトップで胸が骨盤より左に動く「リバースピボット」の動きがあります。スポーツボックスAIのデータ項目「CHEST SWAY」は、胸がアドレスの位置から左右にどれだけ移動したか?を計測しますが、シェフラーはトップで胸が+2.6cm左、骨盤の左右の移動量を計測する「PELVIS SWAY」は+1.4cm左と、胸の方が骨盤より左へ多く移動していることが分かります。
この胸が骨盤より多く左へ動くことは「リバースピボット」 と言われ、多くのレッスンでは「右足に体重を乗せ切れないエラー」として修正されることが多いのですが、シェフラーはあえてリバースピボットを逆手に取り、ビハインド・ザ・ボールの構えから両足のセンターから左足側へ軸を戻す動きとして利用しています。もしアドレスから胸と骨盤の左右差がない状態からリバースピボットになると、アイアンショットの入射角が鋭角になり過ぎてしまいますが、シェフラーはビハインド・ザ・ボールのアドレスを通常より強くセットすることで、自分の特徴であるリバースピボットの動きが入っても、入射角が適正なダウンブローになるようにカバーしているのです。
ドライバーとアイアンのインパクトの違いは、胸の左への移動量とボール位置がカギ
ではドライバーとアイアンのインパクトを比較してみましょう。シェフラーのドライバーとアイアンのスウィングの最大の違いは、ボール位置と胸の左への移動量です。シェフラーといえば右足を後方に滑らせる動きが特徴ですが、この動きはドライバーもアイアンも共通しており、インパクトでの骨盤の左への移動量はドライバーが14.3cm、アイアンが22.6cmと、いずれも大きく左へ動いています。
大きく移動する骨盤に対して、胸はドライバーで1.5cm左、アイアンで10.4cm左と、ドライバーに比べてアイアンのほうが大きく左に動いているのが分かります。これはドライバーとアイアンで求められるインパクトが異なるからです。ティーアップするドライバーはアッパーブローでインパクトすることを求められるので、胸はその場で残ってボール位置は左足の前、これに対して地面のボールを打つアイアンショットはダウンブローでインパクトすることを求められるので、胸は更に左に移動してボール位置はセンターです。
「胸が左に動くと体が突っ込んじゃうのでは? 」と感じる方もいるでしょう。突っ込みにならないポイントは「どちらも骨盤のほうが胸より多く左に移動している」点です。これで骨盤が左に動かず胸だけが左に動いた場合は突っ込みになり、入射角が鋭角になり過ぎてカット軌道やスライス、あるいはトップといったミスに繋がりますので気をつけたいですね。
今回はスコッティ・シェフラーのスウィングを分析させて頂きました。アーノルド・パーマー招待から2週連続優勝で、世界ランク1位の貫禄を見せつけたシェフラー。調子を上げてきたシェフラーのマスターズ2勝目はあるのでしょうか!? 本命のシェフラーに注目です!