女子ゴルフの今季国内ツアー第4戦、アクサレディスゴルフトーナメントinMIYAZAKIは24日、宮崎市のUMKカントリークラブで最終日が行われる予定だったが、降雨によるコースコンディション不良のため中止となり、前日の第2ラウンド終了時点で通算13アンダー単独首位に立っていた臼井麗香が初優勝を果たした。臼井は主催者推薦での出場で、1998年度生まれの黄金世代優勝は14人目となった。山下美夢有が1打差の通算12アンダー2位、小林夢果が通算10アンダーで3位に食い込んだ。
画像: アクサレディスゴルフトーナメントinMIYAZAKIで初優勝を飾った臼井麗香(撮影/有原裕晶)

アクサレディスゴルフトーナメントinMIYAZAKIで初優勝を飾った臼井麗香(撮影/有原裕晶)

2日目は最終日の悪天候予報を意識してプレー

待ちに待った臼井の初優勝は意外な形で飛び込んできた。

最終日のラウンドが中止となり、第2ラウンドまでの順位で優勝が決定。吉報は中断のためクラブハウスで待機している時に場内アナウンスで知った。

「すごいうれしいのが一番なんですけど、まだ夢見ているみたいです。涙が出ましたね」

前日の第2日、最終日の雨予報を頭に入れてプレーしたのが幸運を引き寄せた。万が一中止になれば、第2ラウンドまでの成績で順位が決まる。最終18番で80センチのパーパットも慎重に沈めていた。

「2日目の後半に明日の天気は怪しいと周りから言われていたので、絶対に1位で上がらなければという気持ちで、緊張感を持って回っていました」

画像: 2日間ともに安定したパットで14バーディを奪った臼井(撮影/有原裕晶)

2日間ともに安定したパットで14バーディを奪った臼井(撮影/有原裕晶)

黄金世代に属する選手の優勝は14人目で、待ち焦がれた末の戴冠だった。

「結構焦りました。次は自分が勝たなくてはという焦りはありました。黄金世代で何十人目とか言われるので、一桁台では勝ちたいと思うようにはなっていたんですけどね」

大会終了後には中継局の放送にゲスト出演。

「優勝が決まった後は涙があふれていました。昨日(第2日)よく頑張ったなと思います」と改めて感慨に浸った。

「2位と1位の差」をスウィング改造で埋めることを決意

2018年にプロ転向。足掛け7年目での優勝は、スウィング改造への取り組みが転機となった。2021年にワールドレディスサロンパスカップなどで2位を2度記録したが、優勝に届かなかったことで、オフに改造を思い立った。

「2位と1位の差をすごく感じたんです。2位と1位で10打差くらいある感じで。そこを埋めるにはスウィングだと思ちゃったんです」

改造当初は方向性重視も「飛ばない、曲がる」という負のスパイラルにはまったが、今季は「小さく強く、自分の可動域の範囲でしっかり振る」スウィングがしっくりきた。

画像: 2日目はフェアウェイキープが少なかったが、ラフからのショットが冴えて66をマークした臼井(撮影/有原裕晶)

2日目はフェアウェイキープが少なかったが、ラフからのショットが冴えて66をマークした臼井(撮影/有原裕晶)

第1日は4連続を含む8バーディ、1ボギーの65でロケットスタートを決めて、第2日もボギーなしの6バーディを奪って66をマーク。2年連続年間女王の山下や、飛ばしやの小林との激戦を制した。

1学年下で仲がいい稲見萌寧にも背中を押してもらった。オフにトレーニングの一環としてキックボクシングを取り入れているのは、稲見の勧め。

「萌寧が日本にいる間は結構一緒にいるんですけど、キックボクシングやりなって言われて。このオフからは結構頻度をふやしました」

中継局の放送では「このオフはまずスウィングや技術よりもまず土台(の体)を見直さなきゃいけないなと思ったところから変わりました」と振り返った。

画像: 仲良しの稲見萌寧から優勝決定直後に"祝福"の連絡が届いたという(22年撮影/大澤進二)

仲良しの稲見萌寧から優勝決定直後に"祝福"の連絡が届いたという(22年撮影/大澤進二)

その稲見からは優勝決定直後にマネジャーを通じて連絡があったという。

「泣いちゃうから後にしてって言いました」

ニックネームは『レイチェル』。独自のファッションセンスで何かと目立つ存在だが、マイペースを貫く。

「(見た目について)結構言われやすくて、毎日言われています。SNSとかは書きやすので、結構あります。アンチコメントがあっても、見てもらえることはうれしいので、頑張ろうと思いました」

初優勝までは時間がかかったが、早くも次の目標を掲げる。

「見た目がスポーツマンらしくないので、まぐれだろうなと思われるかもしれないけど、次の試合から2勝目が1勝目だと思ってやっていきたいなと思います」

宝塚歌劇団の大ファン。

「(初優勝の瞬間は)宝塚のイメージが強いので舞台みたいな、登壇みたいな感じでグリーンに上がっていくのを想像していたんです。2勝目はそうなりたいです」

遅れてきた『シンデレラ』の夢にはまだ続き

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