桑木志帆プロのコーチとしてサポートしている今季は、コーチとみんゴル特派記者として週替わりで会場入りしています。
コーチとして入った先週の「アクサレディス」では、初日朝の練習場で桑木選手と臼井選手と隣り合わせになっていました。臼井選手のショットを見ると、体が一回りがっちりしていること、スウィングの安定感が増したこと、そしてアイアンの力強いインパクトに弾道も揃っていて、しっかりと準備をして来ていると感じていました。
初日の前半を2つのバーディで折り返すと後半の1番から4連続バーディでスコアボードを駆け上がり、さらに2つのバーディを重ね9番ではボギーとしましたが首位に1打差の7アンダー2位タイで終えていました。
練習場で見た通りのアイアンショットのキレとパットが噛み合い、2日目も6アンダーノーボギーのプレーで単独首位で終えていました。
QTランク60位で終えていた臼井選手はオフから試合に出られるまでどんな練習をしていたのか、日本ウェルネススポーツ大学のゴルフ部監督・一反田拓三プロに話を聞きました。
「卒業式は終えましたが、大学生として出場する最後の試合になっていました。オフから週に1回以上は大学に来てトレーニングにも、後輩たちとキャディバッグを担いでのラウンドにも積極的に参加してくれていました。挨拶をはじめとした後輩たちの指導など、面倒見のいい選手なんです」(一反田監督)
トレーニングや打ち込み、ラウンドとオフからしっかり準備してきたことで開幕前のラウンドでは「かなり仕上がっていました」と自信を持って出場していたといいます。
練習場で見た際にもアイアンの打音が何度打っても同じ音で、入り方も同じ。アイアンを見せてもらうとヨネックス「EZONE CB702 フォージド」という鍛造ですが、ソール幅の広いポケットキャビティでした。飛び系にも見えますが7番のロフトは31度とそれほど立ってはいないモデル。詳しくは今週の「ヤマハレディースオープン葛城」の会場から特派記者としてレポートしたいと思います。
話を戻しスウィングを見てみましょう。アドレスではつま先寄りの重心位置ではなく足裏全体か、ややかかと寄りに見える立ち方をしています。4スタンス理論やTPIなど様々な分析により、スウィングは十人十色で構わないことが明らかになってきていますが、アドレスでの重心位置もつま先寄り、真ん中、かかと寄りと自分にマッチした位置を見つけることが重要です。
「今までは振ろうと思った許容範囲を超えて振っていたんですよ、大きめのスウィングで。今は小さく強くって言うんですかね、自分の可動域の出来る範囲でしっかり振ってるって感じです」と優勝会見で話した通り、“曲がるから振れなくなっていた”スウィングから“コンパクトなトップから体幹を使ってしっかりと振る”スウィングにアップデートしていることが見てとれます。
切り返しから下半身がグラつくことなく地面に圧をかけて踏み込み体幹部を回転させ、腕からクラブへと効率よく伝達されています。下半身に比べて上半身が弱かったので8割くらい上半身のトレーニングを続けていたとコメントしていたので、上下のバランスが取れて、コンパクトなトップでも安定してしっかりと叩けるスウィングを身に付けてきたことが感じられます。
優勝のコメントでオフのトレーニングの成果を挙げたのは、開幕戦優勝の岩井千怜、2、3戦連続優勝の鈴木愛、そして4戦目の臼井麗香選手と全員が口を揃えます。アスリート化の波は国内女子ツアーでも顕著に進行しています。
スウィングを安定させるだけでなく飛距離にも好影響を与えていますし、年間を通して安定した成績を出すためにはトレーニングを続けることは必須条件になっています。
体とスウィング、自信をつけた心と体技心が揃ったレイチェルこと臼井麗香選手に引き続き注目していきましょう。
写真/有原裕晶