4打リードでスタートした最終日。「いつも通りのプレーでベストを尽くしたい」と中島は勝利へのプレッシャーを胸の奥にしまった。
するといきなり出だしの1番でフリンジ(カラー)から4.5メートルを沈めてバーディ発進。前半を3アンダーで折り返した時点で後続を9打引き離す圧勝ペースとなり、他の選手の間には早々に諦めムードが漂った。
しかし3日間ボギーと相性の悪い14番でグリーンを外すとアプローチをミスしダブルボギー。15番のバーディでバウンスバックしたが上がり3ホール連続ボギーとピリッとしないフィナーレに。
「(14番では)緊張していました」と素直に認め「タフなバック9でしたが、ただゴルフをするだけという気持ちで良いショットもありました」。通訳なし。英語で勝利者インタビューに応じる姿も頼もしい。
日本のゴルフが目覚ましい進化を遂げたのはナショナルチームにオーストラリアのガレス・ジョーンズコーチを招聘したことが大きな要因といわれている。
球を遠くに飛ばすだけでなく練習時間の65パーセントをショートゲームに費やし、心を磨くガレス流が若い世代に浸透しいまや男女ともに世界の舞台で堂々とした戦いを繰り広げている。
立役者であるガレスコーチはこれまで指導した生徒のなかで「ケイタはゴルフの技術、メンタル、そして人間性がピカイチ」と語っている。
奇しくも同週、国内ツアーの開幕戦を制した金谷拓実もまたガレスチルドレンのひとり。彼は昨年アジアンツアーのインターナショナルシリーズ オマーンで優勝しており目指すは世界の大海原だ。
「目標は(欧州で)トップ10に入って25年にPGAツアーで戦うこと」と中島はきっぱり。昨年久常がひと足先に実現した欧州から米ツアーへ、夢のルートを中島が来年実現する可能性は高い。
これでレース・トゥ・ドバイ(ポイントレース)のランキングは13位に浮上。前週シンガポールでスタートしたアジアスウィング(アジアシリーズ)でトップに躍り出た。
海外で躍動する日本勢の勢いは増すばかりだ。