「初優勝で自信がついて、自分を信じてプレーできた」(竹田)
ギャラリーから沸き上がる嵐のような拍手を浴び、竹田麗央はキャップのつばを右手でそっとつまんで頭を下げた。最後まで攻める気持ちを表に出し、最終18番も見事なバーディフィニッシュ。トーンメントレコードタイの通算12アンダーで2週連続のVゴールへ飛び込んだ。
「上がり3ホールはすごい緊張したんですけど、先週の初優勝で自信がついて、自分を信じてプレーできました。今回は焦りがなかったので、よかったと思います」
今週3日間の平均ドライビングディスタンスは268.333ヤードで全体の3位。長打力を武器に同組の飛ばし屋・野澤真央を圧倒し、国内屈指の難コースをねじ伏せた。
最初の勝負どころは12番で野澤にトップに並ばれて迎えた384ヤードの13番パー4。ティーショットを300ヤード近く飛ばし、ピンまで残り70ヤードの第2打を58度のウエッジで奥1.2メートルにピタリとつけて頭ひとつ抜け出すと、左側に海が続く名物ホールの16番パー5は4Uで2オン狙い。ボールをグリーン奥の傾斜の下まで打ち込むピンチとなったが、難しいアプローチを3メートルに寄せてバーディを奪い、後続を突き放した。
勝敗の大勢が決まった後の18番も気持ちを切らさなかった。打ち上げの395ヤードのパー4は今週の最難関ホールだったが、きれいなフェードでフェアウェイセンターをキープし、残り140ヤードの第2打を9Iでピン奥2メートルにつけて、通算12アンダーまでスコアを伸ばした。
「途中で絶対追いつかれると思って、そこからが勝負だよと自分に言い聞かせていました。最後に自分が勝てばいいと思ってプレーしました。今日は最後まで強い気持ちを持ってプレーすることができました」
年間女王争いで鈴木愛を抜いてトップに浮上!
飛距離への人一倍のこだわりが2週連続優勝のパワー源だった。前週の優勝会見では飛距離への飽くなき情熱を吐露している。
「(スタッツは)いつもドライビングディスタンスしか見ていないです。誰にも負けたくないと思ったのは去年くらいから。去年が2位だったので、それが悔しくて、絶対に1位を獲りたいなと思いました」
記録付きの優勝となった。通算12アンダーは21年の稲見萌寧、22年の高橋彩華に並ぶトーナメントレコードタイ記録。初優勝から2週連続優勝は22年の岩井千怜に続き史上4人目となった。
「こんなに早く2勝目ができるとは思っていなかったので、すごくびっくりしています。今日の目標は4つ伸ばすことだったので、そこは達成できてよかったです」
この優勝で年間女王争いでも鈴木愛を抜いてトップに浮上した。
「全然自分が年間女王とかは想像していないけど、最後まで一生懸命頑張ったらチャンスはあると思うので、頑張りたい。これからたくさん試合が続くので、何勝もできるように、メジャーも優勝したいので、1試合1試合ベストを尽くしたいです」
次週のパナソニックオープンレディース(26日開幕、千葉県・浜野ゴルフクラブ)には3週連続優勝がかかる。やってのければ、全美貞(ジョン・ミジョン)、鈴木愛に続き史上3人目となる。
「今週も2週連続とか全然考えていなかったけど、それがよかったと思うので、来週もあまり考えずにベストを尽くせるようにスタートしたいです」
元賞金女王の平瀬真由美を叔母に持つサラブレッドが、飛距離という武器に自信という、もうひとつの武器を加え、女子ゴルフの頂点を目指して歩み始めた。